■「さよなら、僕のマンハッタン/The Only Living Boy In New York」(2017年・アメリカ)
監督=マーク・ウェブ
主演=カラム・ターナー ケイト・ベッキンセール ピアース・ブロスナン シンシア・ニクソン ジェフ・ブリッジス
大好きな「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ監督が、
これまた大好きなS&GのThe Only Living Boy In New Yorkをタイトルに据えた新作。
スノッブなニューヨーカーの子供である主人公が、自分を見つめ直す姿を描いた素敵な成長物語。
これはスクリーンで観たかったから、生息地の老舗映画館がやってくれるを待っててよかった。
大学卒業で親元を離れて一人暮らしを始めたトーマス。
書店で働くミミに好意を抱いているが、彼氏がいる彼女とは進展がない。
やりたい仕事が定まらない日々に悶々としていた。
アパートの隣人になった面白い初老の男ジェラルドと親しくなり、
生き方や恋愛にアドバイスを受けるようになる。
ある晩、ミミと訪れたレストランで、トーマスは父親が美しい女性とデートしているのを目撃してしまう。
彼女と父親を別れさせようと、そのジョハンナに近づくが、彼女に惹かれている自分に気づく。
ジョハンナと関係をもってしまうトーマス。
父と同じ出版業界で働くジョハンナや、実は作家だったジェラルドのアドバイスで、
トーマスは一度は諦めていた作家になる夢を追いかける気になっていく。
一方、ジョハンナはトーマスとの関係の精算しようとしていた。
それを知ったトーマスは・・・。
大人になることは、いろんな人生の様々な現実を知ることでもある。
自分探しをしていたトーマスが次第に近づいていくのは、家族が抱える真実と自らのルーツ。
人間関係がラストに向かってもつれていく中で、突然訪れるビターだけどどこか爽やかな結末。
トーマス、父親、そしてジェラルド。
未見の方の為に多くは語らずおくが、男たちの心情を考えると映画を観た後でジワジワとくる。
それは男目線の恋愛を深く掘り下げてくれた「(500)日のサマー」と同じ。
切ないけど温かい。
キャスティングのよさ、使用されるジャズやS&G、ボブ・ディランなど魅力的な楽曲たち。
90分足らずの短い尺でもここまで描けたことも素晴らしい。
『(500)日のサマー』などのマーク・ウェブ監督作!映画『さよなら、僕のマンハッタン』予告編