Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パラサイト 半地下の家族

2020-01-11 | 映画(は行)


◾️「パラサイト 半地下の家族/Parasite」(2019年・韓国)

監督=ポン・ジュノ
主演=ソン・ガンホ イ・ソンギュン チョ・ヨジョン チェ・ウシク

新年早々なんて刺激的な映画を観てしまったのだろう。貧富の差を分かりやすい高低差で表現することと、貧しいキム一家がお金持ちの家に次々と入り込む話だということは、観る前にあらすじから読み取れる。なるほど、映画前半はキム一家がその手管で家庭に文字通り"寄生"していく様子がテンポよく描かれ、銀幕の前の僕らも引き込まれる。ところが、息子の誕生日にキャンプに行くところから、物語はとんでもない方向に転がり始める。

多くは語らずにおくが、予想もしなかった展開と、高低差という映画の構図がさらなる広がりを見せて言葉を失う。圧巻だ。とにかく観て欲しい。ポン・ジュノ監督は「グエムル 漢江の怪物」があまりにもお気に入りで、「海にかかる霧」があまりにもキツかった。その後観ていなかった。今回のカンヌ映画祭パルムドール受賞も驚いたが、エンターテインメントでありながら社会性もあり、現在を刻み込んでいる映画だ。金にものを言わせる人々の話題がわが国でも他国でも尽きないが、韓国も例の「ナッツリターン」事件を筆頭に財閥への視線は厳しいものがある。貧富の差は映画を観る側にとって敏感だし、注目するテーマだろう。思えば、パルムドール受賞作も「万引き家族」の翌年がこの映画。格差社会は銀幕の内も外も現実。だがこの映画は、富豪が貧しい一家にやっつけられる単純な話ではない。

そこがすごい。匂いって確かに許容し難いもの。スクリーンから漂ってこないだけに、想像してしまう。しかも映像がその想像をさらに掻き立ててくる。

(2020年1月)

第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編


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