Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

2020-01-20 | 映画(は行)



◾️「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男/Borg Mcenroe」(2017年・スウェーデン=デンマーク=フィンランド)

監督=ヤヌス・メッツ
主演=スベリル・グドナソン シャイア・ラブーフ ステラン・スカルスガルド

僕らは様々なスポーツ観戦で感動する。そこで僕らは、試合に勝利するために鍛え上げられた選手たちの肉体や技術に裏付けられたプレイに感動するのだ。しかし、その試合に臨むまで、プレイヤーが何を考え何に悩み、どんな過酷な準備をしてきたのか触れることは極めて少ない。スポーツの名勝負を映画化することは、今の技術なら容易だろうが、果たしてプレイヤーの生き様にまで生々しく迫った作品がどれだけあったろう。

「ボルグ/マッケンロー」は、ウィンブルドン4連覇中のビヨン・ボルグと快進撃を続けるジョン・マッケンローの二人が激突した1980年のウィンブルドン決勝をクライマックスにしている。この映画は、語り継がれるセンターコートでの死闘を再現するだけではない。決勝へと勝ち進んでいく二人を描きながら、少年時代、過去の試合や出来事を挿入してくる。それだけに、その一球、1ポイントの背景にどんな思いがあるのかがひしひしと伝わってくる。それは映画だからできること。

ボルグが紳士的なプレイヤーとして世間で捉えてられているが、キレやすかった少年時代を経て、代表になるために感情を抑え込む術を学んだ様子が描かれる。さらに四連覇がかかる試合、かかる期待、自分への不安。重圧がある、とはよく言うがどれだけ本人を悩ませるものなのかが視覚的に突きつけられる。その場面はとてつもなく重い。一方で感情を露わにするマッケンロー。実力は認められてながらも、誰も支持してくれない現実に彼は直面していた。その対比が見事だ。

副題の「氷の男と炎の男」はよろしくない。どうして配給会社はタイトルで映画の内容を説明しようと余計な節介をするのだろう。「炎の」と言うと情熱を傾ける真摯な人のイメージなのに、単に暴れん坊としか描かれないマッケンローにふさわしいとは到底思えないのだが。



映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』予告編


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする