◾️「オーシャンズ8/Ocean's Eight」(2017年・アメリカ)
監督=ゲイリー・ルイス
主演=サンドラ・ブロック ケイト・ブランシェット アン・ハサウェイ ヘレナ・ボナム・カーター
「40代になった途端に女優の仕事はガクッと減るのよ」と、かつてダリル・ハンナはハリウッドの現実をそう語った。若さと美貌でチヤホヤされる時期はあっという間。その年齢だからこそできる役柄はあるけれど、その争奪戦となるのは必至。そんな現状を考えると、この「オーシャンズ8」って製作されるべくして製作された映画だと思うのだ。それぞれの持ち味がきちんと表現されていて、世間の求めるエンターテインメントにも沿っていて、しっかり楽しめる良作。
正直言うと、ジョージ・クルーニーの「オーシャンズ」シリーズは1作目しか観ていない。だってねぇー、ソダーバーグ監督がコテコテの娯楽作撮る時点でそれはナイと思ったし、男ばかりのクライムサスペンスは確かに楽しいけれど、フランク・シナトラ主演の1960年版オリジナルの小気味良さとはどこか違うんだもの。
そこへ妹に代替わりしてのこの企画。これはアリだと思う。こういうベテランが活躍できるエンターテインメントは作り手にとっても、観客にとっても必要。サンドラ・ブロックもケイト・ブランシェットもヘレナ・ボナム・カーターも撮影当時50代。「スピード」「エリザベス」ましてやお姫様みたいだった「眺めのいい部屋」の頃とは違う。でも今の年齢だからこそ着こなせる衣装も、こなせる役柄もある。濃いめのアイメイクのサンドラ・ブロックも、ロックスターみたいな衣装のケイト・ブランシェットも、CGでデフォルメされない(笑)ヘレナ・ボナム・カーターもみんな輝いている。あの頃を知る同世代の観客は、この映画の活躍を観て、オレもアタシも頑張ろうという気持ちをもらえるはずだ。映画ってそういう力がある。
そりゃね、複製したネックレスの留め金がオリジナルとは違うのにもっと早く気づくだろうとか、アン・ハサウェイに気づかれて当然だろう、とツッコミどころはある。でも楽しんだが勝ち。この映画は、大黒摩季や久宝瑠璃子の歌を聴いて、そうだよそうだよ、オンナって大変なんだよ、と共感していた世代の女子にこそ観て欲しい。アタシもまだまだ輝いていいはずだ、と思えるから。そして僕ら同世代男子は、カッコいい女性たちの活躍をとにかく楽しみましょ。