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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ファイヤーフォックス

2020-07-25 | 映画(は行)





◾️「ファイヤーフォックス/Firefox」(1982年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=クリント・イーストウッド フレディ・ジョーンズ デヴィッド・ハフマン ウォーレン・クラーク

公開当時、地元の映画館で二本立てで観ている。今回BSの放送でウン十年ぶりに鑑賞。公開当時は、特撮にキャアキャア言ってたお年頃だったから、お目当てはジョン・ダイクストラが手掛けたクライマックスのドッグファイト場面だった。ところが基地に潜り込むまでのストーリーと、暗い画面が続くのに、若かった僕は飽きしまい、面白かったという印象がなかった。しかし映画館を出た時、すっげえもんを観た…とものすごく感激していた。何故って、同時上映されていたのは、あの「ブレードランナー」だったんだもの。クリント・イーストウッドには申し訳ないけど、あの日は「ブレードランナー」に完全に心がもっていかれた。

ソビエト連邦が開発した最新鋭戦闘機ファイヤーフォックス。ステルス機が世に出始めた時代の作品だけに、レーダーに映らない新型機というのは驚異だったのだ。ステルス機能だけでなく、パイロットの脳波をコンピューターが感じとって、速やかな攻撃ができるという。ファイヤーフォックス奪取のために、アメリカは元パイロットでロシア語が堪能なガントにその任務を命ずる。彼はベトナム戦争で心に傷を負って、時折発作を起こす症状を抱えていた。彼は密売人になりすましてソビエトに入国するが次々と危機に陥る。果たして任務を達成することができるのか。

今観ると、基地に潜入するまでのひたすら隠れて逃げる部分がとても味わい深い。ガントを基地に潜り込ませるまでに、手を貸す人々それぞれに人間ドラマがある。何のためにこの任務を手助けするのか、その理由がそれぞれの口から語られる。
「あなたはアメリカ人で自由がある。私にはそれがないんだ。」
「妻にふさわしい男になりたいんだ。」
主人公が戦場の記憶で悩まされる描写も、今でこそPTSDというひと言で表現できるが、当時はそんな言葉すらなかった。戦火で犠牲になる人々と、冷戦という時代の犠牲になる人々。

まだ小学生だったけど、僕ら世代は、ソビエトの戦闘機ミグ25に乗ったパイロットが函館に強行着陸して、亡命を求めた事件をなんとなく覚えている。ソビエトって謎の国。そんな強い印象があるだけにこの映画は興味深い。初めて観た時、スリリングには思ったが、人間模様まで感じ取れなかったんだろな。

後半の脱出劇はど迫力。水柱をバーンと立てながら低空飛行する場面や、「スターウォーズEP4」を思い出させる2機の戦いはやっぱり楽しい。でも、ソビエト側が作戦の裏を読もうと四苦八苦する様子も、今見るとなかなか面白い。作戦室で意見を戦わせ、書記長にまで歯向かう一人の軍人。プライドってこういうもんだろ。ソビエト側の登場人物に、ドラマ「名探偵ポワロ」でヘイスティングス大尉を演じたヒュー・フレイザーを発見。クリスティ作品好きの方は探してみてね。





Firefox - Theatrical Trailer


コメント
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