◼️「天才スピヴェット/L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet」(2013年・フランス=カナダ)
監督=ジャン・ピエール・ジュネ
主演=カイル・キャトレット ヘレナ・ボナム・カーター ジュディ・デイヴィス ロバート・メイレット
ジャン・ピエール・ジュネ監督作が大好きだ。独自の世界観とファンタジックな表現は、他の誰とも違う。登場人物たちも一風変わった個性的なキャラばかり。特に主人公は、「アメリ」のアメリ・プーランを筆頭に、みんな自分はどこか世間の感覚とは違うと感じている。分別のついた大人だし、感覚の違いを受け入れて世間とつながっている。さて、「天才スピヴェット」の主人公T・S・スピヴェットは10歳の少年。まだ他人との違いに悩み、もがく年頃だ。勝手な想像だけど、この物語はジュネ監督も少年時代に思ってきたことなのかもしれない。
モンタナのど田舎に住む少年は、好き勝手に生きてる家族と、銃暴発事故で亡くなった兄弟への負い目を抱えていた。科学と実験、分析にしか興味がなくて、学校では厄介者扱い。しかし彼の発明や発想は、科学雑誌に投稿すると称賛されていた。そんな彼のもとに学術研究機関スミソニアン協会から、受賞の知らせが入る。大人だと偽った彼は、家を抜け出して、一路ワシントンへと向かう。
映像美とロードムービーの面白さ。素性の知れない彼にいろいろ指南する人々との出会いが彼を大きくする。袖ふれあうも多少の縁と言うけれど、人との出会いは影響をくれる。
派手な第一印象のわりに映画全体としては地味。だけど、これまでのビジュアルで訴えるジュネ映画よりも、ちょっとだけ地に着いた感じは決して悪くない。家族のキャラはハチャメチャなのに、うまく収束するのは素敵。
世間の注目を集めて、現実に振り回されるT・Sの元に駆けつけるのはやっぱり家族。勝手に家を出た彼に、父親がかけるひと言がいい。「お前が無事ならいい」放任なようでちゃんと気にかけている不器用な父親。息子に「帰るか?」と尋ねるラストはグッときた。昆虫研究家の母を演ずるヘレナ・ボナム・カーターが、これまた極端な役柄に母性を滲ませて好演。
お互いをわかってないようで、お互いをわかってる。好き勝手にやってるようで、お互いの好き勝手を認めている。突き詰めればこのお話は、誰かに認められるって幸せなことだよね、というメッセージ。家族や学校は認めてくれないけれど、世間が認めてくれる。でも世間はそれを時にビジネスための食い物にする。誰が理解者なら自分にとって幸せなのか。「アメリ」の満足感と幸福感とは違うけれど、ほっこりした気持ちにしてくれる佳作。みんな違って、みんないい。そして、それを認めてくれる誰かがいるって大事なこと。
モンタナのど田舎に住む少年は、好き勝手に生きてる家族と、銃暴発事故で亡くなった兄弟への負い目を抱えていた。科学と実験、分析にしか興味がなくて、学校では厄介者扱い。しかし彼の発明や発想は、科学雑誌に投稿すると称賛されていた。そんな彼のもとに学術研究機関スミソニアン協会から、受賞の知らせが入る。大人だと偽った彼は、家を抜け出して、一路ワシントンへと向かう。
映像美とロードムービーの面白さ。素性の知れない彼にいろいろ指南する人々との出会いが彼を大きくする。袖ふれあうも多少の縁と言うけれど、人との出会いは影響をくれる。
派手な第一印象のわりに映画全体としては地味。だけど、これまでのビジュアルで訴えるジュネ映画よりも、ちょっとだけ地に着いた感じは決して悪くない。家族のキャラはハチャメチャなのに、うまく収束するのは素敵。
世間の注目を集めて、現実に振り回されるT・Sの元に駆けつけるのはやっぱり家族。勝手に家を出た彼に、父親がかけるひと言がいい。「お前が無事ならいい」放任なようでちゃんと気にかけている不器用な父親。息子に「帰るか?」と尋ねるラストはグッときた。昆虫研究家の母を演ずるヘレナ・ボナム・カーターが、これまた極端な役柄に母性を滲ませて好演。
お互いをわかってないようで、お互いをわかってる。好き勝手にやってるようで、お互いの好き勝手を認めている。突き詰めればこのお話は、誰かに認められるって幸せなことだよね、というメッセージ。家族や学校は認めてくれないけれど、世間が認めてくれる。でも世間はそれを時にビジネスための食い物にする。誰が理解者なら自分にとって幸せなのか。「アメリ」の満足感と幸福感とは違うけれど、ほっこりした気持ちにしてくれる佳作。みんな違って、みんないい。そして、それを認めてくれる誰かがいるって大事なこと。