
◾️「天使の詩/Incompreso」(1965年・イタリア)
監督=ルイジ・コメンチーニ
主演=アンソニー・クエイル ステファーノ・コングランデ シモーネ・ジャンノッツィ ジョン・シャープ
家族でテレビを見るのは楽しいけれど、それが映画だったらきっと思い出になる。
これはわが妹の弁なのだが、いい文句なのでちょくちょく使わせてもらっている。お正月に家族で映画をテレビで観たことは多々あったけれど、特に記憶に残っているのはフランコ・ゼフィレッリ監督の「チャンプ」を観たこと。妹と親父がグスグス泣いてティッシュ箱の奪い合いになったっけ。今でも家族で映画が話題になる時、親父殿を泣かす最高の映画として名前が挙がる。
さて。今回観たのは親父泣かせの父子もの。イタリア映画「天使の詩」である。
さて。今回観たのは親父泣かせの父子もの。イタリア映画「天使の詩」である。
病弱な弟をもつ少年アンドレア。映画冒頭、悲痛な面持ちで外交官の父親が帰宅して、アンドレアは母を亡くしたことが示される。父は幼い弟に母が死んだことを黙っておくようにアンドレアに言う。大人のことがわかってきたけれど、まだまだ子供のお年頃。アンドレアは母を失った悲しみに暮れる一方で、自分の行動で弟の病状が悪化すると大人たちから煙たがられる。父は弟ばかりをかわいがる。そんな折にウィルおじさんが訪れる。おじさんは子供が嫌いだと言うが、アンドレアの行動から彼の孤独を感じ取っていた。
イタリア語の原題は「誤解」。子供の気持ちに真正面から向き合っていたら、アンドレアは寂しい思いをしなくてすんだのかもしれない。一人書斎で亡き妻の声が録音されたテープを聴く寂しさもわかるけれど、子供に母の死を伝えて、家族のこれからに3人で向き合うことはできなかったのかなとも思えた。アンドレアがテープに残された母の声を聴く場面、それを父が独り占めしたと言う台詞も心に残る。
負傷したアンドレアが、母の肖像画が飾られた居間に寝かせてと願った気持ち。観客だけには明示されるが、父は気づいていたのだろうか。無言のラストシーンが切ない。