Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024-01-28 | 映画(か行)


◾️「首」(2023年・日本)

監督=北野武
主演=ビートたけし 西島秀俊 加瀬亮 遠藤憲一

いつの時代でも、時の権力者たる者にクリーンなヤツなんているものか。政治とと金の話がいつまで経っても騒ぎのネタになるわが国。コンプライアンスの名の下でいろんなことが抑え込まれている昨今だけれど、ちょっと前、今のおっさん世代が若い頃でさえ、日常でも、配慮のカケラもないとんでもない言葉が飛び交い、手ひどい扱いを受けてきたものだ。ましてや戦国時代にその覇権を争っていたあまたの武将たちの時代は、もっともっと酷くって、力と威圧にものを言わせていたに違いない。テレビドラマで幾度も描かれる中で、僕らは美化されたものに慣れすぎてしまっている。

われらが北野武は、世の中に固定されつつあるそんな戦国武将のイメージを徹底的にぶっ壊す。男ばかりのキャスティング、映画冒頭から斬首刑シーン。血しぶきが飛び、切り落とされた首が転がる。その時代の命の軽さをその数分間で観客に思い知らせる。

シリアスに話が進むかと思いきや、唐突にコントのようなやり取りが盛り込まれる。大森南朋演ずる秀長、浅野忠信演ずる黒田官兵衛を相手に、いかにもアドリブだと思える珍妙な会話が続く場面。ふざけてる。「風雲!たけし城」を見ているような、楽しい気持ちになってくる80年代育ちw。でもこれが妙な生々しさがある。農民から成り上がった秀吉の育ちや粗暴さが伝わってくるのだ。

男色の描写は、これまでの北野武作品にも見られた。「座頭市」の少年の場面は短いけれど印象深い。本作では、遠慮なくストレートに描く。芸能界を揺るがした性加害問題報道の後だけに、力ある者は好き放題やるんだよと言わんばかり。これまた妙な生々しさ。

タイトルにまで挙げた「首」を、「どうでもいい」とテキトーに扱うラストシーン。弔いや悼む気持ちなんてカケラもない。その荒々しさは可笑しいし、痛快に思える人もいるだろう。でもシアターを出て冷静になると、背筋がちょっと寒くなる。

武内英樹監督の新作は、徳川家康や秀吉など歴史上の人物が内閣を組閣するんだって?。「首」を観た後の今。あんな戦国武将たちにニッポンを任せられるもんか。80年代育ち世代なら、たけちゃんが「オレたちひょうきん族」で演じていた鬼瓦権造のポーズでこう言うに違いない。
🖐️「じょーだんじゃないよ」💦


コメント
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