本日、のち。
今日の大雨で、残っていた田畑の雪が溶けました。
ここ数日でかなり春らしくなってきました。
先日、「今年より元田んぼを借りることになり畑として自然菜園に挑戦です。
ブログを拝見しとても参考になります。いくつか質問させていただきたいと思います。
ステップ1として燕麦、イタリアンライグラスをまく予定ですがブログ中に「管理機で耕し・・・」とありますが管理機とはどういうものですか?小さい耕運機やその他で代用になるものはありますか?
種をまく前に小さい草がちらほらですが生えていますが、抜いたほうがいいですか?そのままでもいいですか?
元田んぼは、あぜみちを挟んで2枚に分かれており合わせて約1反です。
片方は水はけも悪く第2ステップでセスバニア中心で蒔こうと思いますが、もう片方は表面が乾いて固まっている感じです。セスバニアではなく、他の緑肥の方がいいと思いますが、何かあります」
というご質問をコラム欄からいただきました。
そうですね。今までのこのブログでも元田んぼを菜園化することについて触れてきました。
写真は、ライムギが良く育つようになったら、元田んぼも菜園になったともいえます。
緑肥作物で元田んぼの粘土土質を改良
今年は雑誌のお仕事が多い年 (緑肥mix祭り)
元田んぼを自然菜園に緑肥作物を活用して移行中~初秋
元田んぼを自然菜園に緑肥作物を活用して移行中~夏
自然菜園の土づくり:化学肥料を使っていた田んぼの畑化編(その2) 2013.6.24加筆
自然菜園の土づくり(化学肥料を使っていた田んぼの畑化編)
結構ありました。
今回は、なるべく重複を避けて、キモについて触れていきたいと思います。
◆元田んぼの問題点は、サトイモやダイズ、エダマメは育っても、根菜は根ぐされ、トマトは実割れ、他の野菜も育ちが悪く、病虫害が多い点。
つまり、野菜全般は育ちにくいということです。
しかも、雨が降れば、水浸し。乾燥が続くと、ガリガリ。と種まきも、耕すこともにしくく、野良仕事がしにくい点も見逃せません。
しかし、良くなった元田んぼの菜園は、水持ちも養分の持ちも良く、野菜も良く締まり、良質な野菜が育つのこと。
これから借り手がいなくなる田んぼは、菜園として貸す農家さんも多くなるでしょう。
そこで、元田んぼを野菜が育ちやすい菜園にする必要が今後課題になると思います。
※写真は、レンゲです。水はけの悪い田んぼでも良く育ちます。
ではなぜ、元田んんぼが野菜が育ちにくくなっているのか原因を見ていきましょう!
1)水はけが悪く、酸素不足で根ぐされなどを起こしやすく、病気がちになりやすい。
2)田んぼだったので、菜園の空気の好きな土の生き物が少ない。
3)乾燥すると、ひび割れたり、土が固まってしまう。
つまり、野菜が育つ場所に住んでいる土の生き物が住みにくく、
野菜の根も、雨が降れば酸欠で、晴天が続けば枯れしかないと環境の変化が激しい。
逆にいうと、そんな環境を逆手にとって草を抑えて栽培してきた特殊な作物が、稲だけであったともいえます。
稲と水田の草くらいしか適性を示さない環境で野菜が育つ方が不思議ということです。
そうなると、
畑のミミズなど土の生き物によって、耕され、有機物は腐植化され、土の団粒化は促進される仕組みがない上に、野菜は安心して根を張れないといった問題が生じているので、野菜が育ちにくい。
野菜が育ちにくいと、さらに病虫害に侵されやすいという悪循環が起こっていそうです。
そこで、
まず、水はけを良くするために、
1)明渠(暗渠)を掘り、たまった水を排出する工夫をする。
2)緑肥作物(夏:セスバニア、クロタラリア 仕上げに冬:ライムギ)で根を深く張ってもらい水はけを良くする。
3)クン炭やもみ殻主体の堆肥などで、土に隙間を作り、畑の生き物が住みやすい環境のきっかけを補う。
2)の緑肥作物をよりよく育てるために、「春に水に強いエンバクなどを主体に、夏の緑肥がうまく育つ場を作っておき、
セスバニアの根粒菌は日本にいないため、ついている根粒菌を添加した後、
乾いたところでも良く育つ、クロタラリアとソルゴーなど混ぜて撒き、元田んぼ全域が緑肥の根で穴があくように混播します。
※緑肥作物は良く育つと、育った分だけ効果が出ますが、生育不良の場合効果は半減します。
ライムギが良く育つためには、秋から春にかけて水はけが良くなっていることと、十分肥えていることが大切なので、
温暖地では、セスバニアなどが花を咲かせてからクン炭やモミガラ主体の堆肥を鋤き込んだのちに、冬にライムギでどの程度菜園になっているか確認も含めて、
春までにライムギの根を張ってもらいます。その後、ライムギの開花前までに土に鋤き込むか、畝立てしてから刈ったライムギをマルチします。
ライムギの生育が悪い原因が養分不足の場合は、鋤き込むの際か、畝立ての際にモミガラを主体とした完熟堆肥を浅く鋤き込むとよいでしょう。
ポイントは3)だけでは、元田んぼを菜園にするには不十分だと思います。
というのは、まず1)2)で改善した後でないと、水はけが悪く、クン炭やモミガラ堆肥を入れても、腐ったりしてしまい、堆肥の効果が半減だからです。
良い堆肥と良い堆肥の使い方の要点は、
①質の良い堆肥は、、生育を促進してくれるのに役立つだけでなく、
②菜園の土の生き物をバランスよく増やしてくれます。(病気を抑えてくれ、益虫を増やす)
③そして、根に酸素を届けてくれるきっかけになってくれることです。
そのため、元田んぼに堆肥をただ入れると
①悪質な堆肥(未熟・腐敗)の場合、水で腐りより悪質な環境(病虫害)を招きます。
②酸素不足と加湿(もしくは乾燥)で堆肥の効果が半減します。
③1m以上深くは効果が及ばないため、表面的効果しかなく、抜本的な改善が必要になります。
そのため、1)2)をした後に堆肥を使用した方が効果的です。
1)~3)を行った後は、
菜園の土の生き物や益中が増えるように、高畝にして畝全体を草マルチが有効です。
つまり、畝の上に刈った草を敷き詰めます。
元田んぼは乾燥や雨で土の生き物が安定して住みにくい環境なので、
野菜の根を守ってあげること同時にできますし、ミミズや益虫の住処や隠れ家として、草マルチは欠かせません。
草マルチがない場合は、ワラや、もみ殻でも代用してもいいと思います。
草マルチで被覆することで、ナメクジの害など虫害が1~2年あるかと思いますが、3年目位から被害が軽減してくるのも、生き物のバランスが良くなり、土も良くなり、野菜の生育も良くなるためだと思います。
そして、できれば不耕起がむいております。
不耕起の欠点は、水はけが良すぎて土が乾きやすい点です。というのは、無数の草や野菜の根が始終あるので、土に蒸すの穴があいている状態だからです。
そのため元田んぼで不耕起はとても相性が良く、乾燥しすぎるのは草マルチで防ぐことができ、野菜の根も土の生き物も安定して土の中で生き生き過ごせます。
まとめると
1)~3)で抜本的に水はけを良くし、野菜が育つ土の生き物が増える環境を調え、
草マルチをしながら、不耕起栽培すると、
元田んぼが、水やりなどがほぼ不必要になり、足の裏にも土がつきにくく、野良仕事もしやすい自然な菜園になります。
菜園によっては、通路に緑肥mixやもみ殻を敷いたり、自家採種したりさらに工夫を凝らすと一層良くなりますよ。
【補足の補足】具体的な良い質問だったので、こちらでもご紹介させていただきます。
Q.「質問ですが、(田んぼの自然菜園化の際に)
①土壌分析とは、どうやればいいのでしょうか?
②畝たてする前に管理機で耕したりするのでしょうか?それとも、そのまま草を刈るのみで、畝を立てるのでしょうか?」
A.そうですね。
緑肥などを活用すると、手間ですが、簡単に、緑肥たちが基礎を作ってくれ(田んぼから畑化の転換の大きなきっかけを作ってくれ)、
あとは、その基礎に、畑ならではの生き物の住処、まだのこる大きな欠点を除く必要が出てきます。
大変ですが、みるみる大きくなる緑肥と、土質が雨の後どんどん変わっていくので嬉しくなるので力が入っていまいます。
1)土壌分析は、化学性しかわかりませんが、大きな欠点を発見できるので、お近くのJAやホームセンターやネットで依頼して行います。
具体的なやり方は
結果の見方
です。土の採取後は、検査機関によって、重量式と体積式があるので、指示に従ってください。
2)
①乗用トラクターで畝立て
畝立てで一番楽で一番いいのは、
乗用トラクターで地上部の緑肥に米ぬかを撒いてから、浅く耕し、1~2週間後に深く耕してから管理機(畝立てアタッチメント)を使い畝立てする方法です。
このやり方では、緑肥を堆肥化しながら鋤き込めるので、堆肥をほとんど使用せず、畝立てに専念できます。畝に草マルチする分の草は、鋤き込んでしまうのでありませんが、畝立て後草が自然と生えてくれるので、野菜を育てながらそれを刈り敷けば完成といった感じです。
②管理機(手押しミニ耕運機)しかない場合
は、緑肥ごと鋤き込むのはできません。
そこで、例えば1.2m畝を立てるのであれば、両脇に通路2本なので、0.8×2=1.6m 合計.3.8m
1.つまり、約4m分の草を刈ります。
2.刈った草を両脇によけます。
3.畝になる中央の場所(1.2m)を管理機で耕します。
4.畝の両脇に糸を張り、通路の土を盛り上げます。
5.盛り上げた土を平らにならし、軽く鎮圧し
6.土が乾く前に刈った草を全面に敷きつめます。
※この際に、草が足りない場合は、もみ殻を軽撒いたり、稲ワラで全面マルチングするとよいでしょう。
7.通路を耕して平らにしたあと、溝を掘り緑肥mixを蒔く
8.緑肥の溝と全面にもみ殻を撒いて軽く歩く
※通路の緑肥に土をかけるのは至難でしょうから、土の代わりにもみ殻を使います。モミガラを通路全面に撒くことによって、通路が乾燥や固くなるのを防ぐので、その後もできれば1年に1度モミガラを撒いていくといいでしょう。
③畝立ての際に、1)の土壌分析の結果、過剰なものは入れず、足りない致命的な点をテコ入れします。
例えば)結果がすごく酸性で、痩せていて、苦土もない場合
3.の際に、通路も含め苦土石灰(100~200g/㎡)を撒いてからすぐに耕し、1週間後クン炭、モミガラ系完熟(3ℓ/㎡)を入れてもう一度耕します。
5.の際に、クン炭とモミガラ系完熟(2ℓ/㎡)と米ぬかを入れて浅く耕してから平らにし、鎮圧します。
例えば)結果がまあまあ良い場合は、
3.の際に、通路も含めクン炭、モミガラ系完熟(2ℓ/㎡)を入れて耕します。
5.の際に、クン炭とモミガラ系完熟(1ℓ/㎡)と米ぬかを入れて浅く耕してから平らにし、鎮圧します。
良くてもモミガラ系完熟堆肥などを入れるのは、水はけを良くするため、畑の生き物を導入するため、そして住みやすくするためです。
元田んぼには、畑のミミズすらいないくらい畑と縁遠い世界ですので、テコ入れが必須です。
まだ完全版ではありませんが、手元に表紙カバーのデザインが上がってきたので新著『完全版 自然菜園で自給自足12か月』(宝島社)ご紹介。
3/10(木)に全国の書店に並ぶ予定です。
今までに拙著にない、私の顔だしでかなり恥ずかしい限りですが、中身はかなり充実しております。
今度の新著は、菜園だけでなく、自給自足に必要なダイズ・コムギもあり、田んぼ(自然稲作)や自然養鶏、味噌づくりなど1冊に詰め込んだ豪華版です。
お楽しみに~。
【2016年菜園教室のお知らせ】
Ⅰ.自給自足ライフスクール(1泊2日)
今までは、「農」がテーマでしたが、このスクールでは「衣食住」すべてを通じて持続可能なライフ(生命・暮らし・人生)をテーマに新たなスクールが皆様と創造できればと思っております
1.2016年度の予定内容
◆自然菜園の完全版(田畑一体)の体験実習、
季節の野菜のお世話&収穫、調理
田植え、収穫、新米を釜で炊く、餅つき、
◆発酵食品
麹造りからの味噌・醤油造り(お持ち帰り付)など
◆住居の補修工事
土蔵の壁塗り&カマド作り ・ミミズコンポストトイレ造り ・柿渋づくり・薪小屋づくりなど
Ⅱ.自然菜園スクール2016(旧Azumino自給農スクール)
コースは、安曇野インターから車で30分の長野県安曇野市三郷にある自然菜園各コース(安曇野校)と、
更埴インターから30分の長野県長野市信更町にある自然菜園見学コース、自然育苗タネ採りコース、自然稲作の勉強会で会場が異なります。
Ⅰ.~育苗を学びたい~
■自然育苗タネ採りコース(長野校) ※残り若干名
自家採種した種子で育てる自然苗を学びたい方にお奨め
Ⅱ.~3つから選べる自然菜園コース~
新設コース
■自然菜園/入門コース(安曇野校) ※不耕起区残り若干名
半日のワークで、タネまき~収穫まで、20種類の野菜を一通り1年を通じて基本から学べます。
子育て中やお仕事でお忙しい方でも学ぶことができます。
■自然菜園・実践コース(安曇野校)
1日のワークで、少量多品目の無農薬野菜の自給の基礎から応用まで学びたい方。
30種類以上の野菜や雑穀などを体験学習し、総合的に自給農園のつくり方を学びます。
不耕起と耕起の菜園区画を選べます。
■自然菜園見学コース(長野校)
実際の自然菜園の田畑を見学し、講座と質疑応答で見聞を深めたい方。
自分の田畑があり、忙しい方や見学希望者にお奨め。
Ⅲ.~無農薬のお米作りを学びたい~
■自然稲作の勉強会(長野校)
お米を無農薬で自給したい方、実際に育てている方にお奨め
各種菜園教室の募集は始まっております。1次募集〆切が2月末です。
各コース共、定員があり、先着順になっておりますので、お早めにお申し込みください。
お申し込みお問い合わせはホームページからお願いいたします。
今日の大雨で、残っていた田畑の雪が溶けました。
ここ数日でかなり春らしくなってきました。
先日、「今年より元田んぼを借りることになり畑として自然菜園に挑戦です。
ブログを拝見しとても参考になります。いくつか質問させていただきたいと思います。
ステップ1として燕麦、イタリアンライグラスをまく予定ですがブログ中に「管理機で耕し・・・」とありますが管理機とはどういうものですか?小さい耕運機やその他で代用になるものはありますか?
種をまく前に小さい草がちらほらですが生えていますが、抜いたほうがいいですか?そのままでもいいですか?
元田んぼは、あぜみちを挟んで2枚に分かれており合わせて約1反です。
片方は水はけも悪く第2ステップでセスバニア中心で蒔こうと思いますが、もう片方は表面が乾いて固まっている感じです。セスバニアではなく、他の緑肥の方がいいと思いますが、何かあります」
というご質問をコラム欄からいただきました。
そうですね。今までのこのブログでも元田んぼを菜園化することについて触れてきました。
写真は、ライムギが良く育つようになったら、元田んぼも菜園になったともいえます。
緑肥作物で元田んぼの粘土土質を改良
今年は雑誌のお仕事が多い年 (緑肥mix祭り)
元田んぼを自然菜園に緑肥作物を活用して移行中~初秋
元田んぼを自然菜園に緑肥作物を活用して移行中~夏
自然菜園の土づくり:化学肥料を使っていた田んぼの畑化編(その2) 2013.6.24加筆
自然菜園の土づくり(化学肥料を使っていた田んぼの畑化編)
結構ありました。
今回は、なるべく重複を避けて、キモについて触れていきたいと思います。
◆元田んぼの問題点は、サトイモやダイズ、エダマメは育っても、根菜は根ぐされ、トマトは実割れ、他の野菜も育ちが悪く、病虫害が多い点。
つまり、野菜全般は育ちにくいということです。
しかも、雨が降れば、水浸し。乾燥が続くと、ガリガリ。と種まきも、耕すこともにしくく、野良仕事がしにくい点も見逃せません。
しかし、良くなった元田んぼの菜園は、水持ちも養分の持ちも良く、野菜も良く締まり、良質な野菜が育つのこと。
これから借り手がいなくなる田んぼは、菜園として貸す農家さんも多くなるでしょう。
そこで、元田んぼを野菜が育ちやすい菜園にする必要が今後課題になると思います。
※写真は、レンゲです。水はけの悪い田んぼでも良く育ちます。
ではなぜ、元田んんぼが野菜が育ちにくくなっているのか原因を見ていきましょう!
1)水はけが悪く、酸素不足で根ぐされなどを起こしやすく、病気がちになりやすい。
2)田んぼだったので、菜園の空気の好きな土の生き物が少ない。
3)乾燥すると、ひび割れたり、土が固まってしまう。
つまり、野菜が育つ場所に住んでいる土の生き物が住みにくく、
野菜の根も、雨が降れば酸欠で、晴天が続けば枯れしかないと環境の変化が激しい。
逆にいうと、そんな環境を逆手にとって草を抑えて栽培してきた特殊な作物が、稲だけであったともいえます。
稲と水田の草くらいしか適性を示さない環境で野菜が育つ方が不思議ということです。
そうなると、
畑のミミズなど土の生き物によって、耕され、有機物は腐植化され、土の団粒化は促進される仕組みがない上に、野菜は安心して根を張れないといった問題が生じているので、野菜が育ちにくい。
野菜が育ちにくいと、さらに病虫害に侵されやすいという悪循環が起こっていそうです。
そこで、
まず、水はけを良くするために、
1)明渠(暗渠)を掘り、たまった水を排出する工夫をする。
2)緑肥作物(夏:セスバニア、クロタラリア 仕上げに冬:ライムギ)で根を深く張ってもらい水はけを良くする。
3)クン炭やもみ殻主体の堆肥などで、土に隙間を作り、畑の生き物が住みやすい環境のきっかけを補う。
2)の緑肥作物をよりよく育てるために、「春に水に強いエンバクなどを主体に、夏の緑肥がうまく育つ場を作っておき、
セスバニアの根粒菌は日本にいないため、ついている根粒菌を添加した後、
乾いたところでも良く育つ、クロタラリアとソルゴーなど混ぜて撒き、元田んぼ全域が緑肥の根で穴があくように混播します。
※緑肥作物は良く育つと、育った分だけ効果が出ますが、生育不良の場合効果は半減します。
ライムギが良く育つためには、秋から春にかけて水はけが良くなっていることと、十分肥えていることが大切なので、
温暖地では、セスバニアなどが花を咲かせてからクン炭やモミガラ主体の堆肥を鋤き込んだのちに、冬にライムギでどの程度菜園になっているか確認も含めて、
春までにライムギの根を張ってもらいます。その後、ライムギの開花前までに土に鋤き込むか、畝立てしてから刈ったライムギをマルチします。
ライムギの生育が悪い原因が養分不足の場合は、鋤き込むの際か、畝立ての際にモミガラを主体とした完熟堆肥を浅く鋤き込むとよいでしょう。
ポイントは3)だけでは、元田んぼを菜園にするには不十分だと思います。
というのは、まず1)2)で改善した後でないと、水はけが悪く、クン炭やモミガラ堆肥を入れても、腐ったりしてしまい、堆肥の効果が半減だからです。
良い堆肥と良い堆肥の使い方の要点は、
①質の良い堆肥は、、生育を促進してくれるのに役立つだけでなく、
②菜園の土の生き物をバランスよく増やしてくれます。(病気を抑えてくれ、益虫を増やす)
③そして、根に酸素を届けてくれるきっかけになってくれることです。
そのため、元田んぼに堆肥をただ入れると
①悪質な堆肥(未熟・腐敗)の場合、水で腐りより悪質な環境(病虫害)を招きます。
②酸素不足と加湿(もしくは乾燥)で堆肥の効果が半減します。
③1m以上深くは効果が及ばないため、表面的効果しかなく、抜本的な改善が必要になります。
そのため、1)2)をした後に堆肥を使用した方が効果的です。
1)~3)を行った後は、
菜園の土の生き物や益中が増えるように、高畝にして畝全体を草マルチが有効です。
つまり、畝の上に刈った草を敷き詰めます。
元田んぼは乾燥や雨で土の生き物が安定して住みにくい環境なので、
野菜の根を守ってあげること同時にできますし、ミミズや益虫の住処や隠れ家として、草マルチは欠かせません。
草マルチがない場合は、ワラや、もみ殻でも代用してもいいと思います。
草マルチで被覆することで、ナメクジの害など虫害が1~2年あるかと思いますが、3年目位から被害が軽減してくるのも、生き物のバランスが良くなり、土も良くなり、野菜の生育も良くなるためだと思います。
そして、できれば不耕起がむいております。
不耕起の欠点は、水はけが良すぎて土が乾きやすい点です。というのは、無数の草や野菜の根が始終あるので、土に蒸すの穴があいている状態だからです。
そのため元田んぼで不耕起はとても相性が良く、乾燥しすぎるのは草マルチで防ぐことができ、野菜の根も土の生き物も安定して土の中で生き生き過ごせます。
まとめると
1)~3)で抜本的に水はけを良くし、野菜が育つ土の生き物が増える環境を調え、
草マルチをしながら、不耕起栽培すると、
元田んぼが、水やりなどがほぼ不必要になり、足の裏にも土がつきにくく、野良仕事もしやすい自然な菜園になります。
菜園によっては、通路に緑肥mixやもみ殻を敷いたり、自家採種したりさらに工夫を凝らすと一層良くなりますよ。
【補足の補足】具体的な良い質問だったので、こちらでもご紹介させていただきます。
Q.「質問ですが、(田んぼの自然菜園化の際に)
①土壌分析とは、どうやればいいのでしょうか?
②畝たてする前に管理機で耕したりするのでしょうか?それとも、そのまま草を刈るのみで、畝を立てるのでしょうか?」
A.そうですね。
緑肥などを活用すると、手間ですが、簡単に、緑肥たちが基礎を作ってくれ(田んぼから畑化の転換の大きなきっかけを作ってくれ)、
あとは、その基礎に、畑ならではの生き物の住処、まだのこる大きな欠点を除く必要が出てきます。
大変ですが、みるみる大きくなる緑肥と、土質が雨の後どんどん変わっていくので嬉しくなるので力が入っていまいます。
1)土壌分析は、化学性しかわかりませんが、大きな欠点を発見できるので、お近くのJAやホームセンターやネットで依頼して行います。
具体的なやり方は
結果の見方
です。土の採取後は、検査機関によって、重量式と体積式があるので、指示に従ってください。
2)
①乗用トラクターで畝立て
畝立てで一番楽で一番いいのは、
乗用トラクターで地上部の緑肥に米ぬかを撒いてから、浅く耕し、1~2週間後に深く耕してから管理機(畝立てアタッチメント)を使い畝立てする方法です。
このやり方では、緑肥を堆肥化しながら鋤き込めるので、堆肥をほとんど使用せず、畝立てに専念できます。畝に草マルチする分の草は、鋤き込んでしまうのでありませんが、畝立て後草が自然と生えてくれるので、野菜を育てながらそれを刈り敷けば完成といった感じです。
②管理機(手押しミニ耕運機)しかない場合
は、緑肥ごと鋤き込むのはできません。
そこで、例えば1.2m畝を立てるのであれば、両脇に通路2本なので、0.8×2=1.6m 合計.3.8m
1.つまり、約4m分の草を刈ります。
2.刈った草を両脇によけます。
3.畝になる中央の場所(1.2m)を管理機で耕します。
4.畝の両脇に糸を張り、通路の土を盛り上げます。
5.盛り上げた土を平らにならし、軽く鎮圧し
6.土が乾く前に刈った草を全面に敷きつめます。
※この際に、草が足りない場合は、もみ殻を軽撒いたり、稲ワラで全面マルチングするとよいでしょう。
7.通路を耕して平らにしたあと、溝を掘り緑肥mixを蒔く
8.緑肥の溝と全面にもみ殻を撒いて軽く歩く
※通路の緑肥に土をかけるのは至難でしょうから、土の代わりにもみ殻を使います。モミガラを通路全面に撒くことによって、通路が乾燥や固くなるのを防ぐので、その後もできれば1年に1度モミガラを撒いていくといいでしょう。
③畝立ての際に、1)の土壌分析の結果、過剰なものは入れず、足りない致命的な点をテコ入れします。
例えば)結果がすごく酸性で、痩せていて、苦土もない場合
3.の際に、通路も含め苦土石灰(100~200g/㎡)を撒いてからすぐに耕し、1週間後クン炭、モミガラ系完熟(3ℓ/㎡)を入れてもう一度耕します。
5.の際に、クン炭とモミガラ系完熟(2ℓ/㎡)と米ぬかを入れて浅く耕してから平らにし、鎮圧します。
例えば)結果がまあまあ良い場合は、
3.の際に、通路も含めクン炭、モミガラ系完熟(2ℓ/㎡)を入れて耕します。
5.の際に、クン炭とモミガラ系完熟(1ℓ/㎡)と米ぬかを入れて浅く耕してから平らにし、鎮圧します。
良くてもモミガラ系完熟堆肥などを入れるのは、水はけを良くするため、畑の生き物を導入するため、そして住みやすくするためです。
元田んぼには、畑のミミズすらいないくらい畑と縁遠い世界ですので、テコ入れが必須です。
まだ完全版ではありませんが、手元に表紙カバーのデザインが上がってきたので新著『完全版 自然菜園で自給自足12か月』(宝島社)ご紹介。
3/10(木)に全国の書店に並ぶ予定です。
今までに拙著にない、私の顔だしでかなり恥ずかしい限りですが、中身はかなり充実しております。
今度の新著は、菜園だけでなく、自給自足に必要なダイズ・コムギもあり、田んぼ(自然稲作)や自然養鶏、味噌づくりなど1冊に詰め込んだ豪華版です。
お楽しみに~。
【2016年菜園教室のお知らせ】
Ⅰ.自給自足ライフスクール(1泊2日)
今までは、「農」がテーマでしたが、このスクールでは「衣食住」すべてを通じて持続可能なライフ(生命・暮らし・人生)をテーマに新たなスクールが皆様と創造できればと思っております
1.2016年度の予定内容
◆自然菜園の完全版(田畑一体)の体験実習、
季節の野菜のお世話&収穫、調理
田植え、収穫、新米を釜で炊く、餅つき、
◆発酵食品
麹造りからの味噌・醤油造り(お持ち帰り付)など
◆住居の補修工事
土蔵の壁塗り&カマド作り ・ミミズコンポストトイレ造り ・柿渋づくり・薪小屋づくりなど
Ⅱ.自然菜園スクール2016(旧Azumino自給農スクール)
コースは、安曇野インターから車で30分の長野県安曇野市三郷にある自然菜園各コース(安曇野校)と、
更埴インターから30分の長野県長野市信更町にある自然菜園見学コース、自然育苗タネ採りコース、自然稲作の勉強会で会場が異なります。
Ⅰ.~育苗を学びたい~
■自然育苗タネ採りコース(長野校) ※残り若干名
自家採種した種子で育てる自然苗を学びたい方にお奨め
Ⅱ.~3つから選べる自然菜園コース~
新設コース
■自然菜園/入門コース(安曇野校) ※不耕起区残り若干名
半日のワークで、タネまき~収穫まで、20種類の野菜を一通り1年を通じて基本から学べます。
子育て中やお仕事でお忙しい方でも学ぶことができます。
■自然菜園・実践コース(安曇野校)
1日のワークで、少量多品目の無農薬野菜の自給の基礎から応用まで学びたい方。
30種類以上の野菜や雑穀などを体験学習し、総合的に自給農園のつくり方を学びます。
不耕起と耕起の菜園区画を選べます。
■自然菜園見学コース(長野校)
実際の自然菜園の田畑を見学し、講座と質疑応答で見聞を深めたい方。
自分の田畑があり、忙しい方や見学希望者にお奨め。
Ⅲ.~無農薬のお米作りを学びたい~
■自然稲作の勉強会(長野校)
お米を無農薬で自給したい方、実際に育てている方にお奨め
各種菜園教室の募集は始まっております。1次募集〆切が2月末です。
各コース共、定員があり、先着順になっておりますので、お早めにお申し込みください。
お申し込みお問い合わせはホームページからお願いいたします。