ステージおきたま

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闇に浮かぶ舞台は神秘空間!『お遍路颪』通し成功!

2015-07-27 10:06:24 | 演劇

 現場で通しをやるったって、大変なんだ、野外劇場なんだから。まずは、天気が気になる。雨のことばかり心配していたら、夏には珍しく晴天にして強風!って、おい、装置立てられるか?かがり火焚けるのか?ようやく仕上がった玄関引き戸や壁パネルを運ぶのも風に煽られ一仕事。できるだけ装置や道具は少なくしたつもりだったのに、作業場の舞台搬入口からホール玄関前の野外劇場まで、何度となく往復してかれこれ1時間近くかかってしまった。幸い夕食後には風も収まったので、大忙しで装置の立て込みやかがり火の準備その他を一気に済ませた。

 

 照明は仕込めないので、工事用200W電灯2本上下客席から舞台に照射、役者にはちょうど目くらましのような状態で随分やりにくかったようだが、まずは、夏の夜の闇に不思議な空間が浮かび上がった。

 狭い場所での稽古から一転してだだっ広い野外、経験不足のシニアには戸惑うことも多かった。袖幕なんてもんもないから、舞台に登場するにも、はるか遠くから歩いてこなくちゃなんない。そこ道じゃないから、って言われたってわからないよね。なんせ、舞台もだだっ広く、装置も道具もいたって簡素。裏山に駆け上がるのも、そのものズバリ、後ろの天神森まで喘ぎ上る。楽屋用のテントは本番お預け、出番のない時は、装置裏の狭い空間でひしめきあって待つ。しかも真っ暗!心細く辛い待ち時間だったことだろう。手にした手燭たよりに全員が急な山道を登り詰め舞台は終わった。

 不思議な体験だった。まだまだ拙い演技でありながら、役者の一声一声に引き込まれるものを感じた。一気に時空間を飛び越えて、明治中期秩父の山奥の事件に立ち会う気分。特に、一人語り、二人芝居はぎゅーっと凝縮するものがあり緊迫感があたりを押さえ込んでしまった。夜の闇、覆い被さるように繁る森、周囲をとりまく尋常ならざるものたちが、役者を異次元の高みに登らせるのだろう。かつて経験したことのない、不思議な時間だった。

 これなら本番も面白いものになる、手応えは十分だった。とは言えねせりふがまだ入っていなかったり、役になりきれていなかったりとこれから一週間に乗り越えるべき課題は多い。特に集団演技は段取り以前の状態、何度も何度も繰り返すしかないだろう。蜂起シーンはどこまで迫力あるものにできるか、役者一人一人の自覚とがんばりが勝負だな。

 芝居を作り上げることとは別にやるべきことが山積みなのも野外なれはせこそ。客席の草むしり!とか、楽屋用テント張りとか、会場を仕切る幕の設置とか、かがり火の焚き方とか、お香を焚くとか、虫除けスプレーの貸し出し、座布団シートの準備とか・・・会場に至る柱列には秩父34ヵ寺のありがたいご詠歌と御札も貼る。初めての野外劇、来場のお客様には、初体験の不思議時間空間にどっふりと浸かってもらいたい。

 本番は8月2日(日)18:30開演、フレンドリープラザ野外劇場だ。後は、天気祭りをしながら稽古するばかりだな。

 

 

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