コント大会の台本「免許返納サポーター」を書いていて、おっ、忘れてたぜ、高齢者講習の申し込みしなきゃ、お知らせはがき届いてたもんなぁ。誕生日11月でまだ早いが、直前は混み合うので、なんて注意書きもある。よしっ、自動車学校に電話しよう。
なんか、ちょっとドキドキするなぁ。初めて公に年寄り認定されるわけだからな、これはちょっと尻込みって言うか、緊張って言うか、身構えちまうよな。気にするのは、いかにもなお年寄りに見られたくない、なんて、変な見栄があるからだ。例えば、よくあるだろ、やたら馴れ馴れしいジジイとか。相手が若い娘となると、途端にため口になって、要らぬことまで喋りまくり、滑る駄洒落なんか連発する奴。あるいは、耳が遠いか、理解力不足かで、やたら聞き返したり、無用に確認したりするボケ予備軍。あるいは、偉そうに上から目線で話すジジイ。歳取ってるからってちっとも偉かねえんだっ。どれも、ウザい。相手の娘っこばかりじゃなく、俺もそう思う。
必要最小限に話す。言葉使いは丁寧に、でも、へつらいのニュアンスはぜったいに入らぬよう。聞き返しは、どうしても必要な事柄のみ。返事は、うん、とか、ああ、とか言わず、はい。生年月日、西暦で伝えたの対して、わざわざ昭和で聞き返してきても、ぐっと我慢でやり過ごす。西暦で何が悪い!法律でもあんのか!って怒鳴りたくなる気持ちは、まあまあまあ。
と、こちらとしては最大限相手を尊重して対応しているのだが、どうも、電話口からは、あっ、おじいちゃんね、わかるかなぁ?てな感じが滲んでくる。中でも気になったのが、ことあるごとに、軽く頷くように、うん、とも、うむ、とも聞こえる相槌を挟んで来ることだ。なんか、すげー馬鹿にされてるような、嫌ぁぁな感じだぜ。これ、同僚とか友達相手でも出るんだろうか?多分、電話を受ける時だけのお仕事モードなんじゃないかな。ほら、自動車学校って、高校生とか大学生とか、社会人以前って人たちの利用がほとんどだから、こういう、ちょっと上から優しく支えるような合いの手が有効だって刷り込まれてんだろう。こういう思い込み、て言うか、無意識の癖みたいなのは、けっこうあるよなぁ。
よっぽど、その相槌、見下してるようで失礼だから、って教えてやろうかと思ったが、それこそ、上から目線のジジイ、ってつむじ曲げられるのは見えてるから、ここも、苦笑しつつ堪えた。
予約月日は誕生日の直前にしておきますね、先のことだから目の付くところに掛ってるカレンダーに書き込んどいて下さいね、って、それより、直前にはがき連絡くらいよこしゃいいだろ、5100円もとるんだから、なんて憎まれ口は言わない。スマホのスケジュールに入れておくよ、なんてことも言わない。
やれやれ、感じいいおじいちゃん演じるってのは、なんとも気疲れするもんだぜ。