今年は大丈夫だろ。種芋余ったからって、株間狭くして植えたりしてないし、出過ぎた芽もしっかり掻き取ったし、土寄せも万全だからな。
去年は酷かった。掘り出される芋、どれこれもピンポン玉大!ちと、大げさだろ。狭い地中空間を奪い合い、せめぎ合いして育った芋たちの惨めな有様。ああ、これじゃサラダ作るったって、コロッケにするったって、10数個も皮剥かにゃならんぞ。思っただけで、うんざり、もちろん、人に上げるわけにもいかず、結局多くがそのまま放置、いつしか芽が出て、捨てるしかなかった。まったく、身勝手な話しだぜ。ジャガイモもきっと怒ってたことだろう。
こんな痛い体験を生かして、今年は万全、良い収穫だった。ほとんどがこぶし大の適度な大きさ、いいねぇ、でか過ぎず、ちっこ過ぎず。しかも、ビー玉大の出来損ないもいたって少ない。去年はこいつがやたら多くて、収穫するのも面倒で畑にほったらかしたら、春先、あちこちから勝手に芽が出て苦労したんだ。だから、どんなに小さいものでも芋はすべて掘り出し、ネズミがかじったものは、畑の外に出した。
雨続きの中、我慢できずに掘り上げた芋、そのままコンテナに積むと腐り易い。小屋にシートを敷いて、その上に広げて乾かす。男爵、メークイン、キタアカリ、トウヤ、それと赤ジャガの5種類だ。まじり合わないように、お隣さんを工夫して広げた。赤ジャガ間にキタアカリとトウヤとかね。
さあて、今夜は久しぶりのポテトサラダか?いや待て、ジャガイモ収穫となりゃ欠かせぬ名物料理があるだろう。そう、せいだのたまし!あのちっぽけな出来損ないが、またとない絶品惣菜に生まれ変わるのだ。
拾い出した小粒どもは、水洗いしたら十分水切りして、油で揚げる。それを鍋に移して、砂糖、酒、みりん、味噌、それと水を加えて、炒り煮する。
水分が飛んで、芋に甘辛の味が絡めば出来上がりだ。おっと、最後にごま油、忘れずに。出来立て、うむ?ちょっと柔らかく煮過ぎたか?味も塩っぱい。家の味噌、塩分大目だからなぁ。みりんと砂糖を足して再度に詰めて、よしっ、これだ!でき掛けもいいが、冷めた方が、ジャガイモがしまって美味しくなる。味も馴染む。鍋にいっぱい!日持ちもするから、1週間近くは楽しめる。酒の肴としても、よしよしだ。
農家でなくっちゃ味わえない味覚っていろいろあるが、この、せいだのたましは、ジャガイモ作ってる者の特権だな。収穫の邪魔もの、半端ものが、食卓の主役に大変身!どうだ?スーパーじゃ売ってないだろうが。これぞ、農家暮らしの醍醐味ってやつだぜ。
今年の収穫の写真も。