OMの眼と深淵なる静寂と空観 2015・3・3
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筆者はかつて 南インドのサイババ師のもとへ何度か
旅をした。
師に、ヴェーダの一元論について教えを乞うた。
講義集がまとめられ、そこにOMについての
記述がまとめられた。
引用すると;
”OM is the primeval sound,
the sound caused by the vibrations of creation
through the Emergent Will of the Formless and
Attributeless (the Nirakaara,Nirguna Brahman),
and is refferred to as Shabda Brahman
(divine transcendental sound).
It is a composite of the sounds of AUM,
just as G O D taken together is pronounced'GOD',
so, too, the letters A U and M are uttered as OM,
A emanates from the gullet,
U from the lips, But when OM is uttered,
the sound emanates from the region of thenavel"
須田訳)
OMは根源的な音だ、
形無き属性のない意思の台頭が動いたとき、
創造物の振動する音として生じる。
それを称して シャブダ・ブラフマン
(聖なる超越的な音)という。
それはA,U,Mの音から成立し
神をGODと書いてGod(ゴッド)というように、
OM(オーム)と発音する。
Aは喉から発する咽喉音で、Uは、唇、
しかしOMと発音すると、
腹の底から響いてくる音になる。(*1)”
続いて同誌の第4章ではこう述べられる:
”In order to delve deep into the principle
represented by the Pranava(OM)four steps
have been demarcated in sadhana.
須田訳)
OMの聖音に現わされる意味にはその
修行段階に応じて4つのステージの範囲
が定められている
One may doubt how the eternal, unique,
integral OM can be understood in stages!
The steps, however, are designed to help
the identification of the principle itself.
Wakefulness, dream, deep sleep and
'fourth' are the steps.
須田訳)
永劫で特異性かつ統一されている
OMを 段階に分けることに
疑問を呈する人もいるかもしれない。
こうした段階は、OMの独自な
主旨をわかりやすくするために
工夫された。
覚醒状態、夢想状態、熟睡状態
そして次の4番目の状態の4つがそれだ。
They are known, respectively,
as Jagrat, swapna, susupti,
and turiya in the sashtras."
須田訳)
サンスクリット語(ヴェーダの書かれた)
によれば、それぞれ、ジャグラット、
スワパナ、ススプティ、トゥリヤ
の名前でシャーストラ(聖典)に記されている。”
これを個別に取り上げてさらに師の説明は続く:
"1)Jagrat means 'being awake', 'exterior alertness',
'outward vision'.
The consciousness is gross while in this stage.
須田訳)
ジャグラットの意味は’起きている’、
’外に向かっての注意’’外部映像’と訳され
意識は拡大しているといえる。
2)In dreams(swapna), the impressions that impinge
on the consciousness are reflections
and images of the Truth.
須田訳)
スワパナという夢心地状態の中では、
意識へ及ぼす心象は真理の残像、
あるいはイメージなどである。
3)In sushupti or the deep sleep stage,
the individual is not conscious at all;
he is just a witness, who acknowledges
later(after awakening )that heslept well.
The consciousness is not aware of itself.
It is pure, unaffected prajna or awareness.
It has no contact with the objective world
or the senses,outer and inner.
須田訳)
スシュプティ、もしくは、深い眠りの
段階では、意識はなく、ただ、立会人的
存在として、目覚めたあとに良く眠った
という自覚をもつにとどまる。
意識はそれ自体の認識はない。
純粋で影響力の無い認識である。
その意識は世俗的対象物や感覚、
外へも内側に対しても、コンタクトを
持つことは無い。
It is pure Brahman-Consciousness(Prajnanam Brahman).
それは、純粋な神的意識
(プラジナナム ブラフマン)である。
4)The last stage is turiya.
It is the stage when the consciousness is
fully awareof itself.
It cannot be identified, as such, by any
means!
We can try to clarifyit a little by saying
that it is the silence that prevails after
one OM and before another OM follows it
須田訳)
最後の段階をトゥリヤという。
それは、意識が完全にそれ自体を
知った状態である。
それはどんな手段をもってしても、
識別(独自性の)することはできない。
敢えてその状態を説明できるとすれば
それはOMと次のOMの間に
訪れる静けさに似ているとでも
言えるだろう"
この最後の段階の説明は漠然と聞こえる。
OM とOMの間の静寂。
その静寂の中に最後の段階、私たちが
目指すそれがあるというのは
どういうことなのだろう?
OM、AUMは、創造神が創造物を
創り上げるときの響きでもある。
神は休むことないから、常に躍動
するエネルギー体である以上、
AUM音は永劫に引き続いて
押し寄せる波のように、
宇宙には響いているのだ。
老いた命は亡骸を残しあの世に
旅立つが、同時に新しい生命が
また赤子の身体に宿る。
その身体は新陳代謝を繰り返し、
老廃物を排斥しながら、常に栄養を
細胞隅々に運び、プラーナエネルギー
を吸収して成長していく。
木々は春になれば新芽を伸ばし、
冬には枝葉の葉っぱを落として未来に
栄養を蓄える。
こうした当たり前の自然の営みが一日、
一瞬たりともストップすることがないよう
に、宇宙に満ちる創造エネルギーも
止まることをしらない。
時間もない永遠無窮に見える宇宙の営みの
ほんのわずかな隙間、そこには
深淵な沈黙があると師は言う。
巨大なエネルギーの渦のちょうど
それは中心、台風の目のように、ただじっと
そこにあるだけの、周りに渦巻くヘクトバス
の風力にも影響されない静かな一点。
まさに、空 そのもの。
その沈黙こそ、第四のステージだと
いうのだ。
OMの修行をすることも、このステージを
見極めるという大切な目標があるという
ことなのだろう。
*1 Shri Sathya Sai Speaks, paragraph 14, Chap.3
。