局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

2010-04-06 00:05:00 | 着る
今日の着物の会の講義は 色にまつわる文化史だった

勉強した色は 「青」

青から連想される気分は さわやかとかすがすがしい 一方ではクールとかちょっと冷たいイメージではないだろうか?

青く染める代表的な染料は藍である。 これな解毒作用などの直接の薬効もあるし 匂いによる防虫駆虫効果もある。農民の野良着、ブルージーンズなどが野外で作業する人たちに用いられたのもその効果が認識されていたからであろう。

また出藍の誉れっていうのは漢詩からの言葉。中国でも古来から藍が染料として使われてきたこともしのばれる。

今日の講義で興味深かったのは 日本の伝統色としての 青色の名称だった。

白殺し  白にほんの少し藍をかけた色 白のようでも白でないごくごく薄い青色。
     なんという表現力だろうか

瓶覗(一入染) 一度だけ藍瓶をくぐらせたほどの薄い青

水色

浅葱色  少し薄緑がかかった青色

はなだ色  露草の花の色 赤味のない青

空色

納戸色   はなだ色のくすんだもの ねずみ色かかった藍

藍色    はなだと紺の中間色

紺色    暗い紫かかった青

瑠璃色   鮮やかの濃青色

群青色   濃い青色 顔料の青(藍銅鉱)

かち色   黒に近いほど濃い青

ざっと青色の周辺でこんなにあげることができるのですと。

日本人の感性ってすごいのね。 

生活や歴史に密着して名前をつけられた青もある

新橋色  明るい緑味の青 大正の初めに新橋芸者に流行したから

舛花色  冴えた緑味の青 五代目市川団十郎による家芸の色印

高麗屋納戸  鈍い緑味の青 四代目松本幸四郎による家芸の色印

歌舞伎役者が楽屋の浴衣にそめる屋号の印などは見たことがあるけど色まで家芸となっていたとは・・・


歴史を 文化、服飾面でひもといていくのは面白い。

最後に先生は 色にまつわる文学作品を一つあげられた。

上田秋成の「雨月物語」より「青頭巾」の話。

下野の国のある村で 高徳の僧がいた。あるとき越国に出かけて帰る時に十二、三歳の美少年を連れて戻ってきた。
僧はその少年をすっかり気に入り寵愛する。(多分ボーイズラブだと思われる)
しかしその少年は病で死んでしまう。
すっかり気落ちした僧は狂ってしまう。

その描写

少年が生きていた日と同じように愛撫しながら、その肉が腐りただれてゆくのを惜しんで、肉をしゃぶり骨をなめ、ついに食べつくしてしまったのです・・・

雨月物語ってここまでグロかったのね。

そして僧は鬼になって村人に害を為すようになった。 その村に禅師が訪れ 鬼となった僧に自分の紺染めの頭巾をかぶせて教えさとす。
そして時を経てまたその僧を訪ねると影のような人が自分の教えた歌をとぎれとぎれにつぶやいているのを聞く。
禅師は禅杖をとりなし 僧の頭を撃つと僧のおぼろな姿は消えうせて、あとには白骨と青い頭巾だけが残されたという話。

僧を鎮めさせたのは禅師の力と 頭巾の色だったのじゃないかと先生は話を結ばれた。

青の持つ沈静作用が印象に残るお話だった。

コメント (4)
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