着物の会 外部の先生による文様の講義
今日で三回目(一年に一度)なんだけど非常に興味深かったのでちょこっとまとめてアップしてみたい。(自分の備忘録としての意味もあります)
日本の模様 特に着物の模様を思い浮かべていただきたい。あまり身近で見る機会がなかったり興味がない方も多いと思うけど、これが結構おもしろいんですのさ。
日本の文様のなりたちなんて書き出したら明日の朝までかかりそうなのでやめとくけど 大陸から渡来して(正倉院模様などエキゾチックなもの)→渡来してから和風になったもの(いわゆる有職文様) そして貴族の文化が発達して独自に発生した 御所解きなどの文様 などに分けられるんですと。
これらの中で渡来の文様は主に中国の道教とか神仙思想などに基づき 不老不死を願って発達したものが多いんだそうな。
以上がおととしと去年の講義 今日の講義は 幾何学模様についてだった。
幾何学模様ってのはコンパスとか定規で割り付けられる模様のこと。
これって世界に共通してるものが多い。 円 三角 多角形など これは渡来したとかじゃなくて色んな地方で自然発生的に成り立ってきたんだって。
* たとえば三角形 これは古代エジプトだと 男女の結びつき→生命の誕生を表すが 日本では三角形を連ねて 「うろこ」という文様となったそうだ。
これはヘビの鱗をあらわしている。古代のへび信仰から魔除け厄除けに使われるそうな。
そういえば私の伊達巻は紅白のうろこ柄。これは母が用意してくれたものだけど、魔除けの意味を考えて買ってくれたってことね。私は着物の下には鱗を生やしているわけだ。
* そして○ これは太陽や星の象徴で 古代インドの天体信仰や中国の陰陽道などから影響を受けて 中心の○の周りに6つの○がある七曜 同じく8つの○がある九曜なども長寿や天地四方の保護の象徴として使われたそうだ。平治の乱を記録した絵巻の牛車にはこの九曜の文様が描かれている。
○を連ねたのが七宝模様
○が途切れなく続くってことで吉祥文様とされている。
やはり途切れない 続くっていうことを吉祥としてきたのは限りある命の人間として次代に自分のDNAや思いを託することが昔も今も共通の思いなのかもしれないなってなんだか切なくもなってしまう。
* そして卍 これはお寺の地図マークとして使われてるけど これもヒンズー教の太陽神などの身体に現れる吉祥の相なんですと。 ヨーロッパでは逆卍が十字架と関連してやっぱり宗教的な意味があったそうだけどヒットラーがハーケンクロイツとして使用したことから忌むべく文様として使われなくなったそうな。
この卍を伸ばして繋げたのがこれ
紗綾型という
よく綸子地の長じゅばんの地紋に使われているから身近にある文様なのだけど この中に卍が隠れているとは今日初めて気づいてしまった。目からうろこである(鱗じゃないけど)
* そして六角形 これは中国や日本では亀の甲を見立てている。中国では亀は四神の一つとして北の守りだし日本じゃ長寿のシンボルですよね。 ところがおもしろいのはこれがヨーロッパになると蜂の巣の形として認識されるってことだ。ペガサスの羽の部分にはこの模様が描かれていることもあるのでやはり守りとしても意味がヨーロッパにもあったのかもしれない。
どちらにせよ 六角形ってのは建築学的には外部の力をはねかえす強い形なんだって。
で、六角形を三つ重ねてそれを連ねたのが 毘沙門亀甲
毘沙門天はインドの北方の守りの神 日本では七福神の一人として宝船なんかにお乗り遊ばせてるのですね。その甲冑の文様はこれがついてるんですと。
ここまでの講義もとても面白かった。普段何気なく見ている文様にいわれがあり 歴史があるってことの片鱗だけでも知るとちょっと世の中楽しみが多くなるじゃありませんか? 別にすぐに役立つってもんじゃないけどさ。
* * *
そして一番興味をひかれたのが次の文様だった。
青海波である。 やはり円のバリエーションで同心円の一部分を切り取って一方向につなげた形。 古くはペルシャ湾あたりの国で湖の穏やかな様子を描いた模様として発生して渡来した? もしくは日本で純粋な幾何学もようとして自然発生したかもしれないそうだけど、日本で特に波の文様として親しまれ磨き上げられてきたものらしい。
そりゃあ周りを海に囲まれた国としては波というのは親しみ深かったであろうし、寄せては返すを繰り返す波は悠久無限の吉祥として愛でられていたらしい。
舞楽の青海波の衣装に使われているのはもちろんこれだし(千鳥と組み合わされている)、昔も今も着物の柄に多用されている。江戸小紋の柄の一つだし、そのほかにも色々な模様(具象だったり抽象だったり)のものと組み合わされて使われている。
他にも寛永通宝の裏面にもこれが使われているし 本郷の東大の正門の一部にもこの模様があるんですと。
これまた目から鱗である。
今回の震災で津波の怖さを思いっきり知ってしまった私たち。四天波静っていうのがやはり天下泰平の条件なんですね。日本って・・・とつくづく思う。
そう思うと日本でこの模様が好まれて 吉祥として使われてきたってことがとても意味深いものに感じられたわけです。
今日で三回目(一年に一度)なんだけど非常に興味深かったのでちょこっとまとめてアップしてみたい。(自分の備忘録としての意味もあります)
日本の模様 特に着物の模様を思い浮かべていただきたい。あまり身近で見る機会がなかったり興味がない方も多いと思うけど、これが結構おもしろいんですのさ。
日本の文様のなりたちなんて書き出したら明日の朝までかかりそうなのでやめとくけど 大陸から渡来して(正倉院模様などエキゾチックなもの)→渡来してから和風になったもの(いわゆる有職文様) そして貴族の文化が発達して独自に発生した 御所解きなどの文様 などに分けられるんですと。
これらの中で渡来の文様は主に中国の道教とか神仙思想などに基づき 不老不死を願って発達したものが多いんだそうな。
以上がおととしと去年の講義 今日の講義は 幾何学模様についてだった。
幾何学模様ってのはコンパスとか定規で割り付けられる模様のこと。
これって世界に共通してるものが多い。 円 三角 多角形など これは渡来したとかじゃなくて色んな地方で自然発生的に成り立ってきたんだって。
* たとえば三角形 これは古代エジプトだと 男女の結びつき→生命の誕生を表すが 日本では三角形を連ねて 「うろこ」という文様となったそうだ。
これはヘビの鱗をあらわしている。古代のへび信仰から魔除け厄除けに使われるそうな。
そういえば私の伊達巻は紅白のうろこ柄。これは母が用意してくれたものだけど、魔除けの意味を考えて買ってくれたってことね。私は着物の下には鱗を生やしているわけだ。
* そして○ これは太陽や星の象徴で 古代インドの天体信仰や中国の陰陽道などから影響を受けて 中心の○の周りに6つの○がある七曜 同じく8つの○がある九曜なども長寿や天地四方の保護の象徴として使われたそうだ。平治の乱を記録した絵巻の牛車にはこの九曜の文様が描かれている。
○を連ねたのが七宝模様
○が途切れなく続くってことで吉祥文様とされている。
やはり途切れない 続くっていうことを吉祥としてきたのは限りある命の人間として次代に自分のDNAや思いを託することが昔も今も共通の思いなのかもしれないなってなんだか切なくもなってしまう。
* そして卍 これはお寺の地図マークとして使われてるけど これもヒンズー教の太陽神などの身体に現れる吉祥の相なんですと。 ヨーロッパでは逆卍が十字架と関連してやっぱり宗教的な意味があったそうだけどヒットラーがハーケンクロイツとして使用したことから忌むべく文様として使われなくなったそうな。
この卍を伸ばして繋げたのがこれ
紗綾型という
よく綸子地の長じゅばんの地紋に使われているから身近にある文様なのだけど この中に卍が隠れているとは今日初めて気づいてしまった。目からうろこである(鱗じゃないけど)
* そして六角形 これは中国や日本では亀の甲を見立てている。中国では亀は四神の一つとして北の守りだし日本じゃ長寿のシンボルですよね。 ところがおもしろいのはこれがヨーロッパになると蜂の巣の形として認識されるってことだ。ペガサスの羽の部分にはこの模様が描かれていることもあるのでやはり守りとしても意味がヨーロッパにもあったのかもしれない。
どちらにせよ 六角形ってのは建築学的には外部の力をはねかえす強い形なんだって。
で、六角形を三つ重ねてそれを連ねたのが 毘沙門亀甲
毘沙門天はインドの北方の守りの神 日本では七福神の一人として宝船なんかにお乗り遊ばせてるのですね。その甲冑の文様はこれがついてるんですと。
ここまでの講義もとても面白かった。普段何気なく見ている文様にいわれがあり 歴史があるってことの片鱗だけでも知るとちょっと世の中楽しみが多くなるじゃありませんか? 別にすぐに役立つってもんじゃないけどさ。
* * *
そして一番興味をひかれたのが次の文様だった。
青海波である。 やはり円のバリエーションで同心円の一部分を切り取って一方向につなげた形。 古くはペルシャ湾あたりの国で湖の穏やかな様子を描いた模様として発生して渡来した? もしくは日本で純粋な幾何学もようとして自然発生したかもしれないそうだけど、日本で特に波の文様として親しまれ磨き上げられてきたものらしい。
そりゃあ周りを海に囲まれた国としては波というのは親しみ深かったであろうし、寄せては返すを繰り返す波は悠久無限の吉祥として愛でられていたらしい。
舞楽の青海波の衣装に使われているのはもちろんこれだし(千鳥と組み合わされている)、昔も今も着物の柄に多用されている。江戸小紋の柄の一つだし、そのほかにも色々な模様(具象だったり抽象だったり)のものと組み合わされて使われている。
他にも寛永通宝の裏面にもこれが使われているし 本郷の東大の正門の一部にもこの模様があるんですと。
これまた目から鱗である。
今回の震災で津波の怖さを思いっきり知ってしまった私たち。四天波静っていうのがやはり天下泰平の条件なんですね。日本って・・・とつくづく思う。
そう思うと日本でこの模様が好まれて 吉祥として使われてきたってことがとても意味深いものに感じられたわけです。