ウリパパの日記

自由気ままに・・・

ドン・カルロ(新国立劇場公演)をTV放映を見て

2007-01-11 23:32:35 | オペラ
1/7にNHK教育テレビで放映された新国立劇場公演の録画を見た。歌手
の姿や表情などにフォーカスされる映像に接し、実際に鑑賞した公演の記憶
を辿りつつ振り返ってみる。

本オペラはノヴォラツスキー体制最後の1年のオープニングを飾る公演で、
まずは昨年の9月13日に実舞台を見た印象から。

演出は非常にシンプルで好感をもてた。背景にある巨大な十字架の空間が
モチーフとなり、それを可動式として様々な場面設定に対応させている。
最近の流行である時代の読み替えや斬新さを売り物にした演出とは趣きが
異なり、違和感無くオペラの世界に陶酔できた。但し幕が進むにつれて
十字架に圧迫感を感じてしまったが、これも演出家の意図か?
歌い手は、皆さん丁寧な歌唱で、アンサンブル重視のノヴォラツスキー路線
にうってつけ。個人的には、フィリッポ2世を演じたヴィタリ・コワリョフ
(ウクライナ人)に好感をもった。

今回、改めて録画を見ると実舞台では気付かなかった歌手の演技や表情、
息使いがクローズアップされ、これがTV放映の魅力。特に、ロドリーゴを
歌ったマーティン・ガントナーは、実舞台よりもTV放映のほうが引き立ち
印象に残った。宗教裁判長を演じた日本人の妻屋秀和は、実は12月の
セビリアの理髪師の公演でドン・バジリオを歌ってコミカルな演技がうけた
ため、今回の杖をついて背中を丸めた姿も、滑稽に映ってしまった(失礼)。
エリザベッタ演じた大村博美、主役のミロスラフ・トヴォルスキーも熱唱。
 
でも、イタリア人抜きのイタリアオペラ。先週土曜日に見たDVD(1978年
トロバトーレ) はイタリアの声で勝負といった感じであったが、今回は全く
趣きが異なる。舞台と指揮者はスペイン、演出はスイス、そして歌手はチェ
コ、ドイツ、ウクライナ、ポーランド、日本。
でも、ヴェルディの音楽は十分に堪能できたため、それでよしとしよう。
     
折角の収録、ハイライト版などと遠慮せずに全曲版を放映して欲しいです。

次回の新国立劇場オペラ公演は3月に”運命の力”を聴く予定。昨年の公演
を聞き損なってしまったため、楽しみです。特に、日本人の水口聡がどのよ
うなドン・アルヴァーロを演じるか、そしてレオノーラ演じるインドラ・トーマス
にも期待。 
コメント
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