今月に入り、福徳岡ノ場の新島に関する海上保安庁の発表資料を何度か紹介しました。8月27日に情報更新されたので、引用しておきます。その後の噴火は認められず、前回紹介した新島に形状変化が認められました。以下は発表資料です。
新島の西側には変化が無く、東側は波によって一部を残して海没したようです。今回の報道発表資料に、東京工業大学理学院火山流体研究センター 野上健治教授(航空機同乗)のコメントが掲載されていたので引用しておきます。
・西側の新島は大きく変化しておらず、まだしばらくの間は陸地として残るだろうと考えられる。
・火口の中心部からは、火山灰と思われる灰色の物質が湧出し、茶褐色の変色水域も大規模に分布しており、活発な火山活動は現在も継続している。
参考までに8月16日に撮影された新島の写真を海上保安庁のHPより引用しておきます。
西側エリアの標高はそこそこありそうです。しかし、今後新たな火山活動が無ければ数年のうちに消滅するかもしれません。
福徳岡ノ場は、フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈みこむことによってできた伊豆・小笠原海溝の西側にある「火山弧」に位置します。プレートが別のプレートの下に沈み込むと、ある深さでマグマが発生して海底火山となり、海溝から一定距離はなれた場所に火山弧ができます。
海上保安庁の発表によると、福徳岡ノ場はこの付近の海底火山のうちでも、特にたびたび活動を繰り返している場所です。1904年、1914年及び1986年には、一時新島を形成しましたが、いずれもその後海没。1986年の新島は約2か月で消滅したそうです。新島の状況やこの付近での今後の火山活動からしばらく目が離せません。
参考までに、2011年の東日本大震災は太平洋プレートが北米プレートに沈み込む日本海溝で発生しました。その余震がまだ続いていて、今後M8クラスの地震発生も予測されています(北海道沖から房総沖まで可能性あり)。そして、今、最も懸念されている南海トラフは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むエリアです。ここで東海地震、東南海地震、南海地震の巨大地震が連動して発生、その過程で富士山が大噴火というシナリオです。地球は絶えず活動し続けていることを忘れてはなりませんが、人間の一生に比べると極めて長い時間軸で起きる現象なので、10年あるいは100年は活動の誤差範囲。但し、明日起きることも否定はできず、東日本大震災はそれが現実に起きてしまいました。太平洋プレートの動きが直接フィリピンプレートに影響を及ぼすことは考えにくいですが、噴火や地震のニュースに接する度に、いつかはフィリピン海プレートが大きく動くのではないかと気になるこの頃です。但し、茨城県で生活していると、震度3程度の揺れには慣れてしまい、一昨日早朝のように震度3の地震が3分置きに発生しても驚かなくなりました(笑)。