オーケストラの珍事
2007年11月3日(土)
長年オーケストラオを聞いていると、珍しいことに出くわすものだ。
その1
1998年3月5日、東京のサントリーホール。指揮者は山田一雄。ユーゲント・オーケストラ。
指揮者の山田一雄は小柄な人だが、アクションは大振りで、勢いあまって、指揮棒が宙高く舞ってしまった。山田一雄の心の中の声「しまった。」
でも、曲が途切れることはなかった。
その2
40年くらい前、広島市公会堂。めずらしい曲だったが、カスタネットの親玉のような打楽器を奏者が最前列で演奏していた。派手に鳴らしていて、これも勢いあまって、ステージの左から右に転々と転んでしまった。
しかし、その間これも曲が途切れることなく、その楽器がなくても、演奏に違和感がなかった。
現在、チェリストとして活躍している藤原真理さんが、笑いをこらえ一生懸命に演奏していた記憶があるので、桐朋学園オーケストラだったと思う。
その3
40年くらい前、広島市公会堂。これはそう珍しいことではないかもしれない。
コンサートマスターの弦が切れたのだ。どうするのだろうと見ていると、コンサートマスターは弦の切れたバイオリンを、その後ろの奏者に渡した。後ろの奏者は自分のバイオリンをコンサートマスターに渡した。そのように順にバイオリンを交換し、最後列の奏者が楽屋に弦の切れたバイオリンを持って入った。修理が済んだらその逆の手順で、コンサートマスターへ修理したバイオリンが渡った。見事なチームプレーという感じだった。
その4
珍事の極めつけは、曲が終了する前に花束を持って出たことだろう。
曲はベルリオーズの幻想交響曲。この曲は5楽章で構成されているが、4楽章で、終わったような雰囲気になる曲なのだ。
4楽章が終わり、指揮者がクライマックスの5楽章に入る気息を整えているとき、インド系と思われる美女2人が花束を持ってステージに出てきたのだ。
指揮者はびっくりしただろう。多分言葉も通じなかったのだろうと思う。指揮者はともかく花束を受け取った。通常ならここで聴衆から拍手が沸き起こるのだが、それもない。2人の美女がおろおろしている様子が可哀想だった。
これも40年くらい前、秋山和慶指揮。広島市公会堂。
かの2人の美女は、哀しい、恥ずかしい、可笑しい、複雑に笑ったのではなかろうか。