水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ガール

2012年05月27日 | 演奏会・映画など

 バイトに行く娘を駅まで送り、そのいきおいで久喜に向かったら、指揮のレッスンは10時からなのに8時半に着いてしまった。日曜の朝は16号も空いている。マクドによって午後合奏する曲の譜読みをしてから、久喜高校(女子校)さんの駐車場に車を移動して指揮法の予習をし、ふと気付いたら学校の外をランニングしてきたのであろう運動部さんがもどってきて、すぐそばで腹筋とかやりはじめたので、ちょっとどきどきした。変な人に思われないよう、ひたすら楽譜に目を落とす。レッスンは、予習不足でぜんぜんだめ。次回に雪辱を期す。終わり次第学校にもどり、まず「チャルダッシュの女王」の合奏。1時間パート練習をはさんで「紺き空へ、碧き海へ」の合奏。学年だよりを書き、3年の漢文演習の予習をして、かなり疲労したので一息つこう、大きなイスにゆっくり身を包まれよう、途中で寝てしまってもむしろOKの気持ちで南古谷ウニクスに行き、「ガール」のチケットを購入する。寝れるわけがない。香里奈さん、麻生久美子さん、吉瀬美智子さん、板谷由夏さん、書き写すだけでくらくらする方々がアップで出てくるのだから。とくに麻生さん、板谷さんの円熟したお仕事ぶりは、大女優の風格さえ漂う。仕事、育児、恋愛 … 、四人の抱える問題は、ある意味ステレオタイプだとも言えるが、それでもこうやって小説がベストセラーになり、映画化されるのだから普遍的なテーマなのだろう。女性が観るとどう感じるのかな。現実はもっと悲惨よ、とか思うのかしら。たとえば麻生さんの場合。大手の建設関係の会社に勤め抜擢されて中間管理職になる。年上で仕事のできる部下がいる。上司の麻生さんにも「だから女はだめなんだよ」というスタンスで接してくる。ここまで典型的にイヤな奴いるかなと思ったりしたが、でも遅い電車での少し酔ったおじさんたちの会話とか思い出すと、いそうだ。男の目から見ても、こいつなぐったろかと思ったくらいだ。もちろん、映画では、男社会である会社の理不尽さに辟易とし、時にくじけそうになりながらも、負けない、女だからといってすきにさせない、女をみせてやると筋を通しきる麻生さんの姿を描く。ああ麻生さんに叱られたい。あの目でがんみされたい。「あたしと勝負しない?」といってコイントスをする最後のシーン。床におちたコインをぐっと踏みしめるあのヒールで、できれば自分を踏んでほしいと瞬間願った男性ファンは自分だけではないはず(うそっ、おれだけ?)。板谷さんのシングルマザーも泣ける。一人息子にとって、父親がいないことをマイナスにしたくない。その思いのみで、仕事はもちろん、逆上がりもキャッチボールも、父親がしそうなこと全部を自分がやろうとする。助けてくれる仕事仲間もいるのに、頼りたくない、シングルマザーは弱者じゃないと頑張り続ける。寝る前に「ほんとはお父さんとキャッチボールしたい?」と尋ねる母に、少年がくびをふって「お母さんとしたい」とささやくシーンで、中島みゆきライブ「誕生」クラスの号泣をしてしまった。ぼくもしたい。暗くなるまでキャッチボール。お父さんいらない。いっしょにお風呂入ってこちょこちょしてほしい(おちゃめすぎですか)。奥田英朗作品に、根っからの悪人は登場しない。『最悪』『邪魔』といった初期のクライムサスペンスでも、根っからの悪人ではなく、どんな人も状況によって悪に追い込まれていく場合があるという描かれ方だったような記憶がある。4人の女優さんたち、現実の娑婆はいろいろ辛いこともあるし、年をとっていくのはしょうがないけど、いつまでもガールの気持ちで自分らしく生きていきたい、という前向きな役柄を四者四様に、実にうまく演じていた。香里奈さんはこの作品がベストワーク。でもあの … 、男子もいろいろがんばってるんですよ。女性ゆえの生きづらさというのはあるとは思うし、男だって辛いんだよと言ってしまえば、女の気持ちはわからないと言い返されるとは思うけど、でも、根本は性別関係ないと思う。「ガール」みてボーイも元気出た。

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