前作「アフタースクール」から4年。ついにというか、やっとというか、待ってたことさえ忘れていた内田けんじ監督の新作を観た。純粋な疑問だが、映画監督さんて、ふだん何してるのだろう。4年間、この作品だけを作り続ける毎日だった? もしそうだとしたら、自転車操業の自分からはうらやましいかぎりだ。
でも、これだけの作品つくってもらえるなら、4年の生活費を税金から出したって何の問題もない。独立行政法人なんたらかんたらの役員さん一人分でおつりがくる。
パズルを精妙に組み立てていくような脚本、それを見事に血肉化していく、堺雅人、香川照之、広末涼子。
もちろん、脇の役者さんたちもいい仕事いている。おもしろくならないはずがない。
原作を映画化するのに秀でている監督さんは、オケ作品を吹奏楽アレンジするのが上手な方に、脚本を自分で書かれるタイプの監督さんは、オリジナルを作曲する方にあてはめることができるだろうか。
オリジナルの方がエラいという人もいるかもしれないけど、たぶんそうではない。
アレンジかオリジナルかに貴賤はないが、結果としてできた作品に優劣はある。
今年観た映画で、アレンジ系の最高が「桐島、部活やめるってよ」で、オリジナルの最高がまちがいなくこの「鍵泥棒のメソッド」だ。このレベルになってしまうと嫉妬心さえわかない。