水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

式の前日

2012年09月27日 | おすすめの本・CD

 保積さんという方のマンガ『式の前日』は、二回目がいい。一回読んで、そうかそういう関係だったのかと気づき、もう一度最初から読み直すと、一つ一つのセリフがよりしみてくる。
 六つの短編を収めているが、たとえば表題作の「式の前日」。
 古い大きな家の縁側にごろごろしている青年と、明日のドレスを着てみるから手伝えという女性。
 席の配置はこれでよかったかな、料理のコースはBコースの方がよかったのかなとか会話する二人。
 この二人が明日式を迎えるのかなと思わせるものの、何かテンションがちがくないかなと予感させる。
 食事の場面になると、これからずっと食事をともにすることになる二人のやりとりではなくなり、実はこの二人は姉と弟であり、幼いころ事故で両親を失って二人で長年暮らしてきたことがあきらかにされる。
 そうしてあらためて読み返してみると、「明日はちゃんと愛想よくしてよ」という姉のセリフや、「ごはん何にする?」と聞かれて「何でもいいよ、何でもおいしかったじゃん」という弟のセリフが …
 ああ、やばい。職員室でパソコンうちながら、泣きそ。どうしよう。
 きっと、ここをお読みの方は何なの? と思うでしょうが、だまされたと思って手にとってみてほしい(ただ、アマゾンもhontoも今在庫がないみたい)。週刊誌の広告を見てすぐ注文した自分の嗅覚のただしさに驚いた。
 宅間孝行率いる「東京セレソンデラックス」さんをはじめて観たとき、あまりにも感動して、観た日の帰りに数日後のチケットを買い、二回目を観て一回目よりさらに泣いた。お芝居は二回みると、一回目では気づかなかったことがわかりより楽しいことも知ったけど、その感覚を思い出す。セレソンさんの「夕」も、音楽座さんの「シャボン玉とんだ、宇宙(そら)までとんだ」もそうだった。定演も二回公演とかいつかやれたらいいな。

コメント (1)
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