1学年だより(インナーマッスル2)
スポーツトレーニングでインナーマッスルを鍛えると、どういういいことがあるだろう。
アウターのマッスル、たとえば上腕二頭筋(力こぶ)や大胸筋(胸板)を鍛えると、パワーがうまれ見た目もムキムキになる。
インナーマッスルが鍛えられたとしても、そのように見た目が大きく変化することはない。
しかし、プレーの質はあがる。
関節が安定することで、怪我もしにくくなるし、アウターマッスルの力をより強く、より効率的に発揮できるようになる。
身体のバランスがよくなり、瞬間的なキレのある動きができるようになる。
外見的な変化があるとしたら、なんとなく姿勢がよくなることだ。
そういう選手は、歩いているだけで美しく見える。
みなさんの年代であれば、骨自体のサイズの成長がかりにとまっていたとしても、身長を数㎝伸ばすことは可能だろう。
では勉強のインナーマッスルを鍛えると、どういう良いことがあるのか。
物理的な見た目は変わらない。
でも、よく見ると、なんとなく少し余裕があるように見える、顔がいきいきとして見える、というような変化になって現れる。
1時間目から6時間目まで集中して授業が受けられ、放課後の部活でもいい練習ができる。
わからないこと、できないことがあった時に、どうすれば解決できるかの手段を自分で発見し、その手段を実行にうつせる。
それが多少困難であっても、粘り強く取り組むことができるようになる。
勉強で鍛えられたインナーマッスルは、そのまま将来仕事をするときの力になっていく。
大人になると、少なくとも9時から5時まで働かないといけない。
先生の話を聞きながらうとうとするのは許されないし、宿題を出さないままではいられない。
ただ、就職したばかりの新入社員は一日しゃきっとしていること自体が大変であるのも現実だそうだ。仕事がこなせるかどうか以前に、きちんと目をさまして、しゃきっとしていられるかどうかのレベルだ。
それでも就活をのりこえて働き始めることができた若者はまだましかもしれない。
就職活動の段階で、それまでのインナーマッスルの鍛えられ方が現れてしまうものでもある。
エントリーシートをたくさん書いて、身だしなみをととのえて、面接を受けにいってという一連の活動が、面倒になって続かない若者がいる。
自分という容れ物が小さいままだと、内面的にも人は打たれ弱くなる。
面接がうまくいかなかったといって落ち込み、内定がとれないといってやる気をなくす。
自分にあった仕事が見つからないと嘆き、結果が出ないことを世の中のせいにする。
そういう気分が顔に表れた人を、会社側は積極的に採用しようとは思わないだろう。
容れ物を大きくするということは、自分に向いている仕事が増えるということにもつながるのだ。