水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

気品

2013年01月18日 | 学年だよりなど

 人の気品はいかなるところから生まれるのか。どうすれば気品のある人になれるのか。答えは意外に簡単だった。実力テストに出した評論文に書いてあった。「進路だより」新年号に載せてもらった。

 

 「そのとき、私は一人一人のインディアンにみられる、静かなたたずまいと『気品』のようなものがなにに由来するのかが分かった。それは太陽の息子ということから生じてくる。彼の生活が宇宙論的意味を帯びているのは、彼が父なる太陽の、つまり生命全体の保護者の、日毎の出没を助けているからである」(『ユング自伝Ⅱ』の一節。河合隼雄「イメージの心理学」より)

 自分たちは太陽の子供であると信じるインディアンたちは、日々の祈りによって太陽の運行を手助けしている。それは、この世に生きる人々たちみんなのために、太陽が無事運行されることを願う行為でもあった。
 先日実力試験に出した文章である。
 「自然科学の知」しか信じることのできない私たち現代人は、自然や宇宙の摂理を解明すればするほど、自分たちひとりひとりの卑小さを実感せざるをえなくなる。
 一方「神話の知」を生きるインディアンは、自分の存在価値を実感しながら生きることはできるという文章だった。
 そして、インディアンたちには「気品」がある。
 他の人たちのために何かをしているという自負が「気品」を生む。
 他人のために何かをしようという思い、そして自分はそれを果たしているという自負。
 人の気品は、そういうところから生まれるのだ。
 自分のためではなく、「他人のために」という思い。
 気品のある人をめざしてみませんか。

 

 自分の利益になることだけをしたいと考えている人に気品が感じられない理由がよくわかった。

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