水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

バカを治す

2013年01月21日 | 学年だよりなど

 学年だより「バカを治す」
 
 「B層」という言葉がある。
 みなさんが小学校三年生の時に行われた衆議院総選挙は、「郵政民営化選挙」とよばれ、小泉純一郎ひきいる自民党が圧勝した選挙だった。
 その際、自民党がある広告会社に建てさせた戦略では、国民をA・B・C・Dの4層に分類し、B層にむけて徹底した対策を行った。
 B層とは、「マスコミ報道に流されやすい比較的IQの低い人たち」と定義されていた。
 この層の人たちは決して無知ではない。テレビを観、新聞も読み、本にも目を通す。
 自分たちはそれなりにものを知っているという意識もある。
 ただし、ものごとを深く考える習慣には欠けている。
 小泉自民党は、この分析に基づいて、マスコミを使ってワンフレーズのわかりやすい主張をぶつけていくことにした。
 問題を極端に単純化し「郵政民営化に賛成か反対か」「改革なくして前進なし」「自民党をぶっつぶす!」のスローガンだけを徹底して伝える戦略をとった。
 そこに理屈は存在しなかったが、当時多くの人々はこの雰囲気にのり、自民党に投票したのだ。
 後のこの戦略が明らかになり、国民を愚弄しているのではないかと国会で話題にもなったが、小泉首相の戦略が完全に狙い通りになったのも事実だった。
 その広告会社の分析によれば、若者の多くがこのB層に含まれていた。
 評論家の適菜収氏は、B層の人間とは「近代的価値を無批判に信じるバカ」であるという。
 「民主的」「平等」「人権」「発展」「改革」といった言葉に簡単にだまされてしまう人たちだ。
 バカを脱するには、たんに勉強するだけではなく、ものの見方を変えていく必要があるという。


 ~ 勉強してもバカは治りません。
 バカが資格をとっても「資格をもつバカ」になるだけですし、バカが英語の勉強をしても「英語ができるバカ」になるだけです。
 バカとは「世界の見え方」の問題です。
 バカから脱却するのはなかなか大変です。
「バカは死ななきゃ治らない」という言葉どおり、小手先の技術ではバカは治らない。
  … 物理的に死んだら元も子もないので、精神的に生まれ変わってしまうことです。
 つまり、世界観を完全に転換する必要がある。価値基準そのものを変えるわけです。
 そのためには、知識ではなく教養が必要になります。
 教養とは歴史や世界に対する態度です。
 ただ単に知識を集積するだけなら、一部の大学教授のように秀才バカになるだけです。 (適菜収『バカを治す』フォレスト2545新書) ~

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