部活小説は「 事件→葛藤→克服→成長 」という一連のプロットで構成される。
困難を乗り越えて成長する少年(若者)という、極めて「学校的な物語」が生まれることになり、生徒さんに向けて「読んでみなさい」と安心して与えることのできる作品である。
問題作成のポイントがはっきりしていて、内容面でケチがつくことがないため、入試問題にも多く部活小説が採用されるのは必然なのかもしれない。
埼玉県の高校入試でも、23年に「美術部」、24年は「ものづくり部」が舞台だった。
このあいだの25年入試も「海女さん部」が素材みたいなものだ(しかし県立の先生は、今年「あまちゃん」が流行になるのを予測していたのであろうか。だとしたらなんという先見)。
問題のポイントは次のような感じ。
何が起こったか。つまり主人公が部活動をやるにあたって、それを阻害しようとする出来事は何であったかをつかむ。
すると、主人公の葛藤、苦悩がうかびああってくる。
主人公はそれをどのように克服しようとしたか、克服したか。
克服できた原因は何か。
ここにも学校的物語ははたらくので、その多くは「出会い」だ。
友達、先輩、祖父母など。
同じ部の近い存在ではなく、この人がこんなことを言ってくれるなんて的な人。
そういう人との出会いが、困難克服のきっかけになる。
それによって、ものの見方が変わる、広がる、といって成長形態が提示される。
試験では、このような項目にしたがって設問が用意されると思えばいい。
なんか、自分の問題づくりの手の内をさらしているみたいだけど、うちの問題も、県立さんの問題も構造は同じで、高校入試までは大体この枠組みで説明できると思う。