久しぶりの歌声を聞き始めると、気持ちがロックになってきて、窓を全開にし、ボリュームを最大にしてスピードをあげる。「富士見有料の青い稲妻がかえってきた!!」と噂がひろがってしまったかもしれない。
「世界中の誰よりきっと」「いつまでも変わらぬ愛を」「碧いうさぎ」「咲き誇れ愛しさよ」「翼を広げて」 … 。
織田哲朗ナンバーを歌いまくるのは相川七瀬さんだ。カラオケでお世話になった曲ばかり。
彼女のロックな歌声は二十年を経て色あせることがない。ていうか全然まるくなっていない。
昔愛読した『新宿鮫』シリーズの晶は、自分のなかでは相川七瀬だった。作者が、夭折した川村かおりさんのイメージで書いていたと知るのはずっと後になってからだ。
ただ、イメージとして手の届くロックだった。日本人にもできるかな、できるとしたらこういうわかりやすい形かなと、思えるような。のちに、JPOPロックというか、シャウトしなくてもロックになるんだと教えてくれたのは木村カエラさんだったけれど。
音をひずませなくても、バスドラムをごんごんふまなくても、ロック的なものは存在する。
定演で演奏した吹奏楽版「ディープパープルメドレー」なんかは、考えてみるとロック感はうすい。
淀川工業さんの「大阪俗謡」みたいなもので、ジャイアント馬場対アブドーラザブッチャーの古典的様式美あふれる予定調和の表現だ。
それに比べると、伊奈学園さんの演奏は、声はきれいだけど、とんがりまくりで、「おまえらそんなとこにいつまでもヌルくとどまってるんじゃねえ」と木村カエラさんにメンチきられてるようだ。今年はそういう演奏にも金賞がついてよかった。
相川七瀬さんの歌もいいし、楽曲の力もものすごい。今度は坂井泉水さんの「碧いうさぎ」を聞いてみたいと思ったけど、もうかなわないのね。