アンコンの帰りに、圏央道を初めて使ってみたら、久喜から川島インターまでほんとにすぐだった。1070円。一時間のイメージのところを20分ぐらいだし、道も快適だからコスパは十分だろう。254号線がなぜか大渋滞なのが残念だった。でも、東部地区が一気に近くなった気がする。
わずかの差で県大会を逃したものの銀賞はよくがんんばったと思い、アンコン個人的打ち上げに「みかみ」さんに寄り辛味噌ラーメンを食す。麺が平打ちに変わっていた。スープとよくからまる。スープ自体も丸く熟成されてきていて、濃厚な味噌味のポタージュを生パスタで食べている感覚もあった。どこまで進化させれば気がすむのか。店主は私たちをどこへ連れて行こうとしているのか。肉厚のチャーシューが二枚入り、味玉も乗って800円は、これ以上コスパのよい食べ物がちょっと思いつかない。
今日から公開だったと思いつくといてもたってもいられず、ららぽーと富士見のレイトショーで「レインツリーの国」を見る。
ネット上で知り合った若い男女が恋に落ち、困難を乗り越えて互いの思いを成就させていくという有川浩さんの小説を映画化したものだ。「空の中」「フリーター家を買う」「阪急電車」を有川作品ベスト3って書いたことがありが、この「レインツリー」と、まもなくこれも映画公開となる「植物図鑑」も愛おしい作品だ。「クジラの日」も捨てがたいなあ。
二人が困難を乗り越え、紆余曲折を経て結ばれるという展開は普通といえば普通だが、「レインツリー」は女の子が聴覚に障害をもっている。
若い会社員の伸は、どうしても気になっている本の結末をネットで知ろうとして、あるサイトにたどりつく。そのサイトの管理人である「ひとみ」にメールを送り、やりとりしているうちに意気投合した。
二人はメールのやりとりをしながら、自分の気持ちを素直にさらけだせる相手がこの世に存在したと、お互いに感じていた。
となると、生身の存在にふれあいたくなるのは必然だ。二人は約束して会うことになる。
ところがこの初めてのデートがうまくいかない。
伸君が考えていた御飯やさんに入る。人気店で混んでいたが、席が見つかった。よしOK! と思い席に案内しようとすると「私は混んでいる店はいやだ」とひとみさんが言いだす。
別の店に移動するが、味は今一歩だった。そのあと映画を観ることにしたが、「どうしても洋画の字幕でないと観ない」と彼女が言うので、それに合わせようとすると、つまらなそうなのしかやっていない。入ると案の定そうだった。
もうお開きにしようとして帰り際に乗ったエレベーターで、重量オーバーのブザーがなったのに彼女が降りようとしない。
「おまえ、いい加減にしときや!」と彼女の手をひいてエレベーターを降ろす。
「ごめんなさい」と頭を下げたさげた彼女の耳に補聴器があることに、伸はやっと気づく。
「耳、聞こえへんのか? そんなら最初に言うてくれたらええやん。耳が悪いから気分悪なるとか、つきあい方を変えるヤツやとか思われたなら、それが一番気分悪いわ」
「ごめんなさい、でも一回だけ普通の女の子としてデートみたいなのしたかったから … 」
いきなりせつなくないですか?
伸は、病気のことを勉強し、気を遣いながら接しようとするが、なかなか思うようにいかない。
伸からすれば、ひとみは、必要以上に自分の障害を不幸だと捉えているように見えるのだ。
「自分だけが辛い思いしてるって顔しすぎやろ!」
「あなたには私の気持ちはわからない!」
と喧嘩し、いろいろあって(急にざっくりしてしたなあ)、うまくいく(有川さんだもの)お話だ。
誰かを一方的に弱者にしたり、悪者にしたり、逆にいい人にしたりすることを、徹底して排除しようとした小説だったと記憶している。
ひとみさんを一方的にかわいそうな人にはしてないし、伸くんをただ純粋ないい人にももちろんしない。気遣いに足りない周囲の人物も多く登場するが、その人たちを一方的に悪者にすることもない。
そのへんのきめ細かさは本当に徹底されていた。
演出なのか、役者さんの力量なのか、脚本そのものなのか、原因はわからないが、そのへんの気遣いがやや不足しているかもしれないと感じた。
とはいえ、それは自分の期待が勝手に大きすぎただけであって、十分によい作品だ。
このまま人権教育の映画としても使える。ていうかこのレベルのものを見せたい。
レイトショーで1300円だったけど、もちろん1800円でも惜しくない。
ただなあ … 。「会おう」と言った伸のメールに、あまり気が進まない旨を伝え、あげくのはてに「私、あんまりキレイじゃないし」と書いてくる。「何言うてんのん、オレはひとみさんの中身が好きなんや」とかやりとりしてて、当日現れたのが西内まりあさんというのは … 。
そんなことってあり得るか。たまたま引っ越した家の隣に独身のスカーレット・ヨハンソンが住んでる映画あったけど、そんなねぇ … 。近所にできたお弁当屋さんに行ったら松雪泰子さんがいたとか。
美容院を営む伸の実家で、母親に頼んで髪を切ってもらう。
もさっとした感じだったのが、そこで見違えるようにかわいくなる … という展開が後半あるのだが、最初の登場から「キレイでない」とは見えない。
多部未華子さんや門脇麦さんだったら、このあたりをお芝居力できっちり演じ分けてくれたんじゃないかな。
もちろん、西内まりあさんを見れたこと自体はうれしい。最後のファッションショー的なサービスシーンも眼福だった。