水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

本当の学力

2020年06月09日 | 教育に関すること
 朝日新聞の投稿欄で、「元中学教員」という方のご意見を読んだ。
 学校の現状の大変さを憂え、われわれ現場の教員にエールを送ってくださるようにも読めた。
 こんな時期だからこそ「総合的な学習の時間」を活用すべきだというお考えには首をかしげた。


~ コロナ禍の今こそ、自分で考え、表現する本物の学力を育成できる機会と考えます。
 現場はコロナ対策や休校による学習の遅れを取り戻すことが先で、それどころではないと言われそうですが、次世代を担う子どもたちのために、生きた学習ができるように期待します。~


 こう書かれるということは、今の学校には「本物の学力」「生きた学習」が足りてないとお考えなのだろう。
 掲載した朝日新聞も同じように考え、おそらく多くの読者も頷かれていたのではないか。
 「本物の学力」「生きた学習」ってなんだろう。
 思えば、「新共通テスト」が生まれる背景に、同じ思想があった。
 現在のセンター試験は、本当の学力を測るものさしにはなっていない。
 だから、高校の現場でも「本当の学力」を育んでいないのだと。
 「本当の学力を育む」「真の人間を育てる」「生きた学びのなんとかする教室」みたいな美しくも大仰なスローガンは、何も生み出さない。実際、何も生み出してこなかったものね。いろんな教育研究会があったけど。

 話を国語にしぼってみよう。
 「本当の国語力」とは何か。
 国語教員のはしくれとして、最低限の勉強は積んできた。
 本を読み、学ぶべき先生がいらっしゃる会に出かけ、そうそうたる研究者の方々や予備校の先生とお話する機会もいただいた。
 「本当の国語力」などというあいまいな日本語を使う方は、そんなにいらっしゃらなかった。
 「本当」なのかどうかはわからないが、センター試験の問題は、国語力を図るものさしとしては有効だ。
 たいして指導もしないままに書かせた「感性豊かな」作文よりは、はるかに正確に、国語力を表す。
 漢字の知識、言葉の意味、指示語が何を指すのかを指摘できる、空欄を補う言葉を文脈から想定できる、傍線部と同じ内容が別の表現でどう書かれているかを見つける……。
 試験という形式で試されるこのような技術を、国語力とよばずして何というのだろう。
 そっか、センターじゃなくていいや。高校の入試問題や北辰テストでいい。
 もっといいのがあった、開成中や麻布中の入試ほど国語力を測れるテストはなかなかない。
 ほんとのこと言うと、もっとてっとりばやいのがある。
 自分が行う漢字テストの三年間分の足して並び替えてみると、一番だった子が東大に入り、そのあと見事に難しい大学順に並ぶ。
 見せられないけど、見事なものだ。漢字テストの質もいいのだが。
 センターまた共通テストで75%とれたら基礎ができてるという目安は、ものすごくわかりやすい。
コメント
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