水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「ノリが悪い人」

2020年06月13日 | 学年だよりなど
  3学年だより「ノリが悪い人」

 年を取ると、なかなか「バカ」ができなくなる。
 たとえば部活動。まもなく入部してくるフレッシュな新入部員たちは、「おっさん」を見る目でみなさんに接してくるだろう。
 自然とそれなりに紳士的にふるまうことになるのではないだろうか。
 しかし大学に入るとまた、その場における一番若いキャラで生きることになる。
 求められるキャラは、組織や集団において異なる。
 その空気を感じることは大切ではあっても、それだけにとらわれると、自分が何ものなのかわからなくなる。
他人からどう思われてもいい、自分のやりたいことに集中しようと思い、行動にうつしたときに、「おまえノリが悪いな」と言われるかもしれない。
 もし言われたなら、もしくはそのように扱われたら、成長しはじめたということだ。


~ 私たちは、基本的に、周りのノリに合わせて生きている。会社や学校のノリ、地元の友人のノリ、家族のノリ……そうした「環境」のノリにチューニングし、そこで「浮かない」ようにしている。日本社会は「同調圧力」が強いとよく言われますね。「みんなと同じようにしなさい」――それは、つまり「ノリが悪いこと」の排除です。「出る杭は打たれる」のです。
 しかし、勉強は、深くやるならば、これまでのノリから外れる方向へ行くことになる。
 ただの勉強ではありません。深い勉強なんです。 … 私たちは、同調圧力によって、できることの範囲を狭められていた。不自由だった。その限界を破って、人生の新しい「可能性」を開くために、深く勉強するのです。 (千葉雅也『勉強の哲学』文春文庫) ~


 勉強しはじめると、「ノリが悪い人」になる。
 そうなると、自分と同じようにノリの悪い人がそこここにいることに、気づく。
 そういう人に対する見方は変わるだろう。
 周りのノリに合わせて生きていた方が、楽は楽なのだ。
 今の自分を変えたくなければ、そのままでいい。
 みなさんがどんな人生を選ぶかについては、誰も強制できない。
 何らかの可能性を見出したいならば、今までのノリからは脱する必要がある。
 より自由に生きる人生を手に入れるための条件だと言えるだろう。
コメント
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