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熱狂する「神の国」アメリカ  松本佐保

アメリカ大統領選挙が近づくと、必ず話題になるのが各候補者の宗教的な信条とそれが選挙に与える影響である。11月の大統領選挙に向けて、共和党トランプ候補の過激な発言は色々話題になるが、宗教的な信条についてはあまり明確な報道がなされていない気がする。保守=キリスト教の影響大ということは類推されるが、そのあたりの知識を補完したくて、本書を読むことにした。記述された内容は、主に戦後アメリカの宗教史と宗教各派の政治との関わりだが、特にアメリカにおけるカトリックの歴史が興味深かった。アメリカにおけるカトリック迫害の歴史、宗教と識字率の関係、アメリカの禁酒法の裏話などは、有名な話なのかもしれないが、初めて知ってなるほどと感心してしまった。そのカトリックが反共と結び付いて保守化、体制派へと変貌していくあたりの話も大変興味深かった。当初期待した今年のアメリカ大統領選挙の話はそれほど書かれていなかったが、それを考えるための材料をたっぷり提供してくれたので、結果的にはその方が有難かったかもしれない。非常にためになる一冊だった。(「熱狂する「神の国」アメリカ」 松本佐保、文春新書)

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