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ボランティアという病 丸山千夏

ボランティア元年と呼ばれる1995年以降災害ボランティアが隆盛だが、それについてはある種の胡散臭さが付きまとう。時折、ボランティアにまつわる事件が断片的に報道されるからだろう。ボランティアのネガティブな問題点と言えば、不透明な会計、善意の押し付け、参加者の自己顕示欲が引き起こすトラブルなどが思い浮かぶが、本書を読むと、専門技術が必要な現場における素人ボランティアの存在そのものの弊害、被災地の子どもたちへの悪影響といったさらに多様な問題点があることに気づかされる。また本書では、Amazonの欲しいものリストを利用した詐欺、避難所に住み着くホームレスボランティアの存在といった具体的な悪意の手口なども数多く紹介されている。これまでに読んだ被災地ボランティアに関する文章や記事でも色々な問題点があることは一応指摘されているが、その扱いは肯定的な内容の最後に少しだけ言及したり、補足説明程度に止まっているように思える。これに対して、本書はほぼ100%ネガティブな記述に終始しているのが潔い。(「ボランティアという病」  丸山千夏、宝島社新書)

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