宙組「Capricciosa」を見て、「♪アルベデルチローマ♪」のシーンを見た時、ちょっと素直に「グレートセンチュリー」の中の「♪アルベデルチローマ」の方がいいと姫に言ったら、それを見せろというのでDVDを探しまくり・・・見せました。
星組・稔幸の「グレートセンチュリー」は三木先生の作で群舞が多いだけの作品ですが、星奈優里のダンスがすごくて、さらに中詰めの絵麻緒ゆうの「アルベデルチローマ」が秀逸なんです。
姫に見せたら「私、こっちの方が好きかも」って言ってました。
上品で華やかなレビュー仕立ての「エルベデルチローマ」ですね。
他にも「バロック千一夜」の一路真輝歌う「オンブラマイフ」を聞かせたのですが、こっちは「礼真琴の方が・・・」でした。
本当は鳳蘭版「誰が為に鐘はなる」を見せたいけど、古い映像はダメだろうなあ。
要するに全ツの「Gran Cantante」を見る度に、姫がいうのです。
「こっちゃんの正妻は舞空瞳かもしれないけど、貴妃は瀬央ゆりやで妃はアリちゃんだね」って。
中国ドラマを見ている人はわかるでしょうけど、
皇帝の正妻・・・皇后(ホンホウ)
側室で位が高い順・・・貴妃(グイフェイ)妃(フェイ)
なんです。
つまり「こっちゃんは政略結婚で舞空瞳と結婚したけど、一番愛しているのは瀬央っちで、そこに新たな側室が現れて寵愛を受けてるアリちゃんの図」をあのショーから想像したんだそうです。
(ここまで来るとヅカオタも)
理由は簡単です。
全ツで新たに加わったシーン、それは暁千星の色っぽいドレス姿。その暁とまっさらな笑顔でさもいとおしそうに見つめる礼真琴のカップルが新鮮で素晴らしい。
「なこちゃんに向ける笑顔とは全然違うわ」
と言い募り・・・「じゃあ、星組の相関図を書いてみたら?」と提案したら、通勤の電車の中で必死に頭と技術を使って作ったらしいものが送られて来ました。
なんだ、姫、やれば出来る子なのになあ
それがこれ。
ひょえーーでしょ。私、こんな事出来ないもん。
今時の子はすごいわ。
そこで名付けて「星組後宮の諍い女」って事でそれなりのストーリーを考えてみました。
星組後宮は礼真琴が皇帝陛下です。皇帝(ホンシャン)と呼ばれています。
礼皇帝(リ―ホンシャン)には幼馴染がいました。
貴族の瀬央ゆりやです。二人は将来結婚しようねと誓っていたのですが、先帝は他国の姫、舞空瞳を皇后に決めてしまいました。
舞空瞳は先帝の従兄弟の縁続きで、草原の民族ですが星組後宮に御輿入れ。
皇后(ホンホウ)になりました。
御輿入れの時、兄の綺城ひか理将軍も一緒に来て皇帝に仕えることに。
礼皇帝の華やかな結婚式の日、新たに側室も選ばれました。
それが瀬央ゆりやで貴妃(グィフェイ)の地位を与えられました。
年下でよくしらない皇后より幼馴染で勝手のわかる貴妃を寵愛するのは当然の事。
やがて、貴妃との間に皇子が誕生。暁千星・・別称「暁太子(シャオタイズ)」と呼ばれ、側室の子ながらあっさりと皇太子に立てられました。
貴妃との間には第二皇子も生まれ、極美慎第二皇子。
第二皇子はさっさと小桜ほのか姫と結婚し、王宮を出て一家を構えています。
やがて、礼皇帝と瞳皇后の間にも子供が生まれました。
詩ちずる長公主(チャンコンジュ)です。
暁太子はこの小さな公主をとても可愛がって、二人の仲はとてもよいのですが、
礼皇帝からは「さっさと妃を娶り、孫の顔をみせよ」と言われています。
「私は二弟(アルディ=極美慎皇子)のようにはいきませんよ・・素直に好きな人と結婚出来るのが羨ましい」
「そなたの気持ちはわかる。私が本当は貴妃を最も愛しているのはわかるだろう。しかし、皇帝とは思いのままには行かぬ。
水乃ゆり貴人(グイレン)も、瑠璃貴人も、他の部族の女達。みなが私の寵を争っているのを見るのはバカバカしいと思うが、皇帝は常にどの女も平等に扱わねばならぬ。わかるな」
「はい。父上(ディディ)私も父上のように・・・」
「いや、そなたは本当に愛する者を皇后にせよ」
「父上、皇后との間に男子が出来れば私はその兄としてこの宮殿を出ます」
「・・・・そなたが皇太子である事には変わりがない」
暁太子は皇帝にそんな風に断言されると困ってしまいます。
皇帝と貴妃が深く愛し合っている事はわかるのですが、一人で後宮を束ねている若い皇后の事も心配なので。
暁太子は狩りも上手なら字も上手、漢詩も得意で小さな頃から「秀才」と言われて来ました。勿論、それは生まれながらの才能だけでなく、惜しみない努力の末なのですが、少し悩み過ぎる所が欠点だったりします。
「大兄上(ダガー)はもっと気楽でいいんですよーー私を見て下さい。結構うまくやってるでしょう?」
極美慎皇子はとびきりの笑顔で言います。
「お前の太陽のような笑顔が羨ましいよ」
「皇太子殿下(タイズデンシャ)には、やはり花のような妃が必要かも」と側近の天華えまも言いました。
「そんな話ははやい。私はまだまだ学びたいし、そなたらとこうやって遊んでいたいのだ」
暁太子の馬はまるで麒麟のように高く飛び、そして駆け抜けていきました。
その頃、高級では瞳皇后がしくしく泣いていました。
「どうなさいましたの?」有沙瞳女官長は、嘆く皇后に驚き、女官達を叱りつけました。
「早く皇帝陛下にご報告を」
「いいの。陛下には言わないで」皇后は涙をぬぐい、顔を上げました。
「兄上が・・兄上が国へ帰ってしまうの。私、これからどうしたらいいのか」
「綺城ひか理将軍が・・・」
「元々期限付きで私の元にいらしてたんですもの。国へ帰らないといけないわ。それはわかっているの。祖国も兄を頼りにしているのよ。それはわかるけど、私はこんな風で公主しか産んでいないし、陛下は暁皇子をとてもお気に召しているわ。私の後ろ盾になってくれる人がいないと」
「そうですね・・・さあ、もう泣かずともよろしいですよ。幼馴染で軍にいる天華えまに相談してみましょう。それにしても貴妃の勢力のすさまじい事。泣き顔は陛下を不快にさせますわ。今日はもっと着飾って陛下のお越しを待ちましょう」
「来て・・くれるかしら。私とあの方は話題が続かないの。私は一生懸命にお仕えしているつもりで、陛下も形上は大事にして下さるわ。でも本当のお心は違う」
「皇帝陛下の正室はあなた様なのですよ。貴妃がどんなに寵愛を受けようが皇后の地位だけは奪えません。もっとどうどうとするのです。暁皇子?そろそろ邪魔ですわね」
「え」
「皇太子を産むのは皇后陛下でなければ。その為にはもっと皇帝陛下にご寵愛を頂かねば。あるいは公主を女帝とするんです」
「だって太子がいるのよ!」
「だからなんです。たかが側室の子ではありませんか。側室の皇子と正室の公主、どちらが上だとお思いで?」
「・・・・」
「公主に皇后さまの国から婿をとれば?」
「まあ。そんな事が出来るの?それじゃ星の王朝が変わってしまうわ」
「変わっていいのですよ。私達が生きる望みはそれしかありません。そんな賭けを打ちたくないなら皇子をお産みなさいませ。将軍の帰還・・これはある意味チャンスですよ。将軍はこの国の事をかなりご存知でいらっしゃる。公主のお婿様の事も考えておられるに違いありませんから」
「私、まだ希望を持てるの?」
「勿論でございますとも。さあ、お召し変えを。簪をもっと派手な色にして」
「・・・・というような話があるようでございます」
天飛華音宦官長は、貴妃と一緒にいる皇帝の耳にそっと入れました。
皇帝は顔色を変えることもなく、頷きます。
「私、皇后陛下がそんな悪事をたくらむとは思っておりません」
貴妃は少し震えながら言いました。
「でも、我が息子達に危害が及ぶとなれば話は別です。皇帝陛下」
「そなたは心配しなくてもよい」
皇帝は微笑み、貴妃の手を取りました。
「宦官長の耳はロバの耳か」
「恐れ入ります。弟子に稀惺かずとというのがおりまして、これが非常に愛国心のある者で私が目をかけております。その者に一定を任せれば太子様のお命は安泰かと思われます」
「そなたが信頼するのなら大丈夫だろう。生真面目で策略が苦手な皇太子をよく支えてやってくれ」
「かしこまりました」
「この国で女帝など許さぬ。男子が二人もいるのだ。私の兄弟だっている。何が何でもこの国の血統は変えぬ」
皇帝は毅然として言いました。