年齢によって感じ方は違うと思いますが、「亡くなった人に対して冷たい」という意見を私は承服しません。
「亡くなった」のではなく「自死」「自殺した」のです。
若い方は「それなりの理由があっての自殺だったから悪いのは回り」と考えますね。
でも本当にそうでしょうか?逃げ場がなかったとは言えません。
どんな理由があっても死を選んではいけないし、そうやって死んだ人を「可哀想。誰が死においやった」と責めるのは間違いです。
宝塚歌劇団はこの件について調査チームを作る事にしました。
阪急や宝塚とは関係のない第三者機関で「なぜこのような事がおきたか」という事について宙組等から聞き取り調査をする
生徒のメンタルケアの為に、常に看護師やカウンセラーは設置していた。守秘義務がある為に誰が相談したかなどは聞き出せない
遺族の意向を尊重し名前は伏せる
宙組は22日まで公演中止。その後の事は追って発表
いわゆる「ヘアアイロン」事件に関しては双方から聞き取りしたが、「当たった」事は事実だが怪我をさせた事実はない
一人の自殺者の為にここまで人が動き、宝塚歌劇団の生徒の心が非常に辛くなっている事。
「自分が死んだら宙組生がどう思うか」などという理性が働いたとは思えない。自分の苦しみや悲しみで手一杯だったのだろうと思います。
言葉に出さず、態度に出さず、いきなり自死を選ばれたら同期も上級生もどうしたらいいかわからないのは自明の理でしょう。
10代で音楽学校に入り、予科本科という2学年の間で「同期」と「上級生下級生」の結束を学ぶ。
歌劇団に入団後は、同期が非常に強い味方になり、互いに励まし合い一緒に謝り、自己研鑽を積む。
それが80人体制の組を一つにする事です。
でも我が家の姫の話によると、最近の「若い子」っていうのは、わからない事をわからないと言えない傾向にあるんだそうで、「わからない事があったら聞きなさい」と言っても聞かずにわからないまま自分で対処しようとして失敗する。
「よく相談しなさい」と言っても、「はい」とは言われるけど行動には移さない子が多いとは聞きます。
結果、自分を追い詰めていくんだなと。
姫からすると「宙組全体が下級生の面倒をみようという気がなかったんじゃないか」という風に見えたそうです。
どこの組にも面倒見がいい、怖い上級生がいて、その人に構って貰う事で色々学んでいく。
真風涼帆が「天寿光希さんに叱られたい」と言っていましたが、自分が「叱られたい上級生」にはなれなかったと言う事なのでしょうか。
103期の悲劇はみんな退団して行った事と、同期が少なくなりすぎていたこと。
じゃあ102期に仲の良い上級生などはいなかったのかな・・と考えたりするけど、そもそもが人数が減っている宙組は互いに人を構っている余裕がなかったのかも。
ネットとか一部のファンが有愛きいを「被害者」と表現する事には反対します。
歌劇団が言うように、この事件には被害者も加害者もいませんでした。
「ヘアアイロン」の事で自殺するというには時期がおかしい。
何十年も見て来て思うのは、すごく右肩上がりにパワーがある組っていうのは、トップは泰然自若としてて、同期がその代弁をし、それが下級生の長に伝わり、トップのポリシーとか伝統や技術や考え方を自ら表現し、それが伝わっていくように回りが努力するといった形ですよね。
トップが一人で頑張りすぎると、下級生は育たないし、「うちの組はこうでなきゃ」っていうのがはっきりしなければ、当然技術も受け継がれていかないと言う事です。
星組以外、わりとトップと組子の間が分断されているように感じるのは私だけでしょうか?
生え抜きトップの雪組と花組ですら、何となくそう思うわけですからね。
そして組運営はプロデューサーの好みに一任されている事も問題なのかなと。
例えば月組は、平気で生え抜きのプリンスをよそに出す傾向があり、雪組は小さくまとまるように仕向けられている気がします。花組は「ダンスの花組よもう一度」といいつつ、出来る下級生の抜擢が少なすぎる。
宙組はというと、長い時間をかけてもまとまりませんでしたの一言ですね。
宙組生の驚きと失望と罪悪感を思うと胸が痛くなります。
こういう事が起きると人間不信になって、下手な事は言えないなと心を閉ざす人も増えるでしょう。そうなるとますます舞台上にそういう空気が漏れ出て観客もがっくり来るんですよ。
今一度「宙組とはどんな組なのか」「どういう組カラーを持ち、何をポリシーにやっていくのか」という事をスタッフには考えて欲しいです。