「山独活」が盛りを迎えて、毎日のように山に足を運んでいる。
「畑仕事へのウォーミングアップ」とうそぶき、一時間前後山を歩いてくるのです。
この辺りの山を知り尽くしたスベルべには雑作も無い事で効率的に出ている場所に行く。
時には20キロ近くも背負い、平坦な道路は前かがみになって帰って来るほど。
そして、短くてすぐに食べられるものと、長くて塩漬けにするものとに選別する。
塩漬け用は包丁を使って丁寧に固い皮を剥く処理をします。
これを数本ずつ束ねて、輪ゴムで留めて一把にします。
こんな仕事を日中は畑仕事が忙しいため、夕食後に夜なべ仕事でしている。
皮を剥くと言っても、そんなに難しい仕事では無い。
根元部分から、引っ張るとすうっとスムーズに剥ける事も有るのです。
肥料の空き袋一杯になった剥いた独活の皮です。
実は手間を掛けたら、これも十分美味しい食べ物に変身するのですよ。
細かく刻んで、佃煮風に仕上げたらちょっと洒落た、野趣に富む佃煮が出来ます。
皮を剥き終わり束ねた独活は、プラスチックの大きな漬物用容器に入れます。
そして、もう真っ白になるほどのたっぷりの食塩を掛け、大きな重石を上げて作業終了。
先日、東京のもやし独活の紹介がテレビで有ったけれども、その中で独活の90パーセントは水分と言っていました。
その水分が、塩漬けにする事に拠り浸透圧の働きでどんどんと抜けて来ます。
抜けて溜まって来た水を汲むと、独活はペチャンコになり次々と漬物容器に入る事になる。
かっては一日に山を五往復もして、100キロ近く収穫した事さえあります。
そんな大量の山独活も、ほとんど水分と言う成り立ち上、いくらでも入る事になります。
仕事をしていた頃は手を汚さないように手袋をして皮剥きをしていました。
今は気取る必要も無い百姓オヤジとばかりに素手で剥いたらてはご覧の通り「アク」でまっ黒け。
丁寧にこの仕事、塩漬けを作るには、もう一度漬け直しするのですが我が家は最近省略。
それでも、大丈夫だけれども、丁寧にした方がきっと色が鮮やかに仕上がるのだと思います。
もちろん、漬かった独活はそのまま食べるのではなくて、「そう煮」と称し一度煮ます。
そして、器に入れて水を張り、何回も何回も繰り返して水を替え塩分を抜いてから調理する。
この独活、山菜の塩漬けの良い所は同じ容器に、ワラビなどの別の山菜も一緒に漬けられる事。
互いに影響しあう事も無く、保存できるいわば山里の暮らしの知恵ですね。
漬物にすると大抵は材料の風味など落ちてしまうものだけれども独活は例外的存在。
上手く塩抜き出来たら、本当に美味しく、「生よりも漬けた方が好き」と言う人もいるほどです。
そして、塩抜きをする際に「銅鍋」を使うと銅イオンの作用で緑色がよみがえります。
炒め物、煮ものに利用したら、それは美味しいものですよ。
大抵は冬食べる保存食と言う事になりますから、その頃になったら御馳走しますよ。
今は雪国魚沼の春もたけなわ。
忙しい畑仕事の帰り際に、「木の芽」と呼ぶ三つ葉アケビの新芽を摘んだり、タラの芽やコシアブラを採って帰る。
時にはそんな山菜の天麩羅で、贅沢な天麩羅蕎麦の昼食になる事も有る。
先日は夕方6時過ぎまで山の畑で働き、やはり帰り際に山菜を摘んで帰宅。
「ヨシッ、天麩羅は俺がするよ」と、ゴキブリ亭主はせっせと山菜の天麩羅作り。
「うーん、贅沢だなー」なんて夫婦二人で呟きながらの夕食はビールで幕を開けるのです。
こちら「まつざき」のウグイスも今年は、綺麗な声で、上手に沢山、鳴きます。
先日、「うた声喫茶」で歌っていましたら・・・ほんと。まけじ~とウグイスが鳴くのです。
気候がよくなり「窓」を開けて歌ってましたから、お互いに聞こえたのです。
人が歌を歌ってることが、ウグイスに分かるのですね。
昨年末の歌合戦が良かったのかなー。
基本的に、鳴き声はテリトリーの主張だとも言います。
そして、恋する相手を探すために歌う歌声だとも聞きます。
昨年までは本当に不器用な鳴き声で「こりゃこんなとこで訛ってどうする」
なんて勝手に畑で呟くスベルべでしたけれどもね。
きっと環境が良くなって、ライバルが増え上手に歌わないと生き残れないのかも。
いずれにせよ、畑で上手なウグイスの歌声を聴けるなんて嬉しい限りです。
アクで汚れた手は(トマトの脇芽を摘んだりすると同じに汚れます)洗濯の漂白剤ですぐに落ちますね。
冬の間に、白くそして柔らかになった手も春の訪れとともに農夫の手に。
独活もワラビも一緒にプラスチック製の漬物桶に漬けこみます。
もう、塩が溶けずにそのまま残るほど大量に使うのがコツでしょうか。
塩分が強いと傷まないし、食べるときは塩出しをして、塩分はほとんど抜きます。
独活もワラビもそれても風味が抜けず美味しさは味わい不思議です。