「薫風ただなか」に続くシリーズ第2作
鳥羽新吾の家庭は少々複雑だ
当主である父の兵馬之介は家を出て巴と暮らしている
武家の妻としての新吾の母の依子に何の不足があったものか
当初は苦しんだかもしれぬ依子も今は この生活にふきれたようにも見える
新吾はこの父に対し様々な思いがある
落馬がもとで亡くなったが新吾には兄が一人いた
兄が死んだ時の母の悲嘆も見ている
選ばれて江戸で勉強するようになった栄太が危機に陥った時に 身分が低いものであろうと庇う優しさも見せた依子
人として正しくあろうとする母の依子
前作では少年であった新吾もその友の弘太郎も元服を済ませ それぞれの将来を考える年頃となっている
弘太郎には将来は妻にと思う八千代という存在も
共に学んだ薫風館を近々やめると新吾に告げる
弘太郎と妹の菊沙を可愛がってくれたご近所の御隠居が死んだ
その少し前に人の死体を見たとご隠居は言っていたが 他の人間が確認に出向くと死体は何処にも無くて
ご隠居がぼけたのだろうとー
新吾は死体を見たご隠居が殺されたのではないかと疑う
同じ頃 兵馬之介と暮らす巴が妊娠した
町で巴に会った新吾は 父親はもっと巴をいたわるべきだと依子が兵馬之介に怒ったことを教える
巴の子供は新吾にとり腹違いのきょうだいになる
江戸から栄太が秘密裏に戻ってくる
その用件にきな臭さー不安も覚える新吾
新吾は父から鳥羽家のしていた「仕事」を教えられる
新吾の兄はこれを知り ある行動をとろうとしていたことから殺された
兵馬之介は息子を殺した見えない敵を葬るべく動いている
新吾たちの生きる藩を取り潰そうと動いているらしい公儀の手の者
藩の中でも別な動きをとる一派
その黒い触手は弘太郎の想う八千代にも栄太にも及ぼうとし 大切な人達を守る為に新吾は動く
新吾は父のようには生きないことを話し 将来の希望も告げる
兵馬之介は それを許し 巴と共に姿を消す
解説は書評家の藤田香織さん
なんとなくですが このシリーズは まだ続きそうな気がいたします
全てが明かされたわけではないので