Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~

2008-10-06 | 日本映画(は行)
★★★★ 2007年/日本 監督/FROGMAN
「余裕でかます自虐の面白さ」



説教ぶっこいたり、世界を憂いたり、そういうアニメって本当に苦手。それに最近映画館で、ぽ~にょ、ぽにょ、ぽにょって声を聞くと背筋が「さぶっ」ってなるんですけど、そういう人でなしは私だけなんでしょうか。

さて、この鷹の爪団。TOHO系のシネコンで予告前にお目にかかって以来、このユルユルムードの面白さが気になって、気になって、ついに映画を見てしまいました。FLASHアニメだから低予算。まさにアイデアとセンスで勝負しているところがすばらしい。この面白さの元って、徹底的な自虐なんですね。

予算がないという自虐と、世界征服という野望の前に何をやってもダメな総統の自虐。つまり、作り手もストーリィ中の人物も「俺らはダメダメだぁ~」って言いっぱなしなワケです。ところが、ダメな割には余裕しゃくしゃくのムードが漂っています。駄目なヤツのひがみやねたみを第三者が見て爆笑できる。それは、紛れもなく笑い飛ばせる余裕が作り手にも観ている側にもなくてもダメで、非常に高度なコメディではないかと思ってしまいました。

本編に集中したい作品ならば、予算ゲージの上昇と降下なんて、邪魔になってしょうがないですよ。もし、これが他の作品についてたら、どうです?絶対気が散りますって。この作り手側の勝手な事情が、本編アニメにもきちんと溶け込んでいて破綻していない、ということも凄いなあと思うわけです。

各種有名映画のパロディってのは、文字通り大人の映画ファンへのサービス。そして終盤、予算がなくなり効果音も出せなくて、口で「ババーン」とか言いながら戦うシーンでは小学生の息子が腹を抱えて大爆笑。大人のツボにも子どものツボにもしっかりハマる。これは侮れません。