Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

傷だらけの男たち

2008-10-25 | 外国映画(か行)
★★★ 2006年/香港 監督/アンドリュー・ラウ アラン・マック
「光と影のコントラストが弱い」


冒頭、夜のバーで見張りをしていた刑事たちが犯人を追跡するシーンで幕を開けますが、ここはすごくいいんです。刑事が走る、車で追っかける、ガサ入れに行く。さすが警察物をたくさん作っているだけあって、こなれてます。日本の刑事物がドタバタした感じなのに、とてもスマートなんですよね。かっこよく見せるテクニックがあります。

ところが、ヘイの過去が見え隠れする後半に従って、物語のスピードは失速しているように感じました。「インファナル・アフェア」の製作チームが再び結集だからでしょうか。やたらと古い記憶のフラッシュバックのシーンが多く、ミステリアスなムードを盛り上げようとする。しかし、このフラッシュバックがあまり効果的には感じられませんでした。というのも、この手法により、敏腕でクールな刑事ヘイが実は過去に何かを背負っているというのは明らかです。しかも、かなり早い段階から推測できます。観る側としては、その秘密は何かとドキドキするわけですが、明かされる秘密が結構予測通りなんですね。ちょっと、がっかり。だったら、フラッシュバックなんか用いずに、全く種も蒔かずに、素直にどんでん返ししてくれた方が、サスペンスとしてはよっぽど盛り上がったように感じました。

トニーと金城くんの対比が弱いんですよね。ポンの追跡によって、ヘイの真実の姿が見えてくるのですけど、追えば追うほど傷を負う。何かを失う。そんな駆け引きが少ないのです。マカオに行って調べたら真実がわかりました、ということで、ミステリーとしてもひねりが少ない。そして、アル中の金城くんが今ひとつ。やさぐれてないの。どん底までひねくれちゃった男には見えないのね。カッコ良すぎるのが仇になっているのかも知れません。トニーの方がこの役は合ってたかも。