Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

椿三十郎

2009-02-05 | 日本映画(た行)
★★★☆ 2008年/日本 監督/森田芳光
「何と申していいのやら」

恥ずかしながらオリジナルは見ていません。トヨエツ見たさに鑑賞。

壮大なコント、という感想の方がいて、まさかね、と思っていたら、あららほんとだ。まるで小学生の学芸会みたいなんです。この佇まいが。セリフはキチンと、はっきりと。演技はみんなにわかるように少しくらいオーバーで。セリフを言う時は、他の人とカオがかぶらないように。劇となるともじもじしてしまう子供たちへのお手本ビデオみたいなんですよねえ。

だんだん話が進む内にそこそこ面白くはなってきます。つまり、物語そのものの面白さ、脚本の良さはわかる。それでも、このとってつけたような、ぷかぷか浮きまくっている感じはなんざんしょ。それはね、おそらく導入部分の違和感をずっと引きずってしまって、作品世界に入り込めないからだと思います。

つまり、冒頭のシークエンスです。

窮地に陥った9人の若侍たちがなにやらこそこそと相談をしあっている。そこに、素浪人が登場。「待て待て、おまえさんらの思惑はちょっと違うんじゃないかい?」というところに至る最初の部分。本来ならば、いきなり本題から入ってスピーディに物語が動き出す、という「ツカミ」になるはずの冒頭シーンが、違和感いっぱいなんですよね。だから、ずっと乗り切れないんです。

違和感の最も大きな原因は、話が呑み込めないということ。何が起きているのか、さっぱりわからん。こいつら何であつまってんねん。この素浪人は誰やねん。そもそも、そんなことわからなくてもずんずん話が進めば、気にならなくなるはずなんですけども、そうは問屋が卸さない。この状況に説明が欲しくて仕方ないのです。もしオリジナルでは違和感ないのだとしたら悲しいかな、役者陣の据わりの悪さというのが大きいのかも知れません。9人の若侍たちのとってつけたようなマヌケぶりと織田裕二のとってつけたような力みぶりと。

中村玉緒&鈴木杏のコンビもちっとも楽しくありませんでした。エツ様のカツラ姿がイマイチだなあ、と鑑賞前は思っていたのですが、実際に見てみるとなかなか素敵でした。「いい子だ」という低音ボイスに聞き惚れました。作品がつまらないので、後はその「いい子だ」だけを脳内リフレインさせて、最後まで鑑賞しましたとさ。