Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

悪夢探偵

2009-02-14 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2006年/日本 監督/塚本晋也

「初めて楽しめた」

俳優塚本晋也は好きなんですけど、どうも監督作品は苦手。金属くさいエログロ描写は、観る人を選ぶよな~なんて思っていたのですが、よぉく考えるとクローネンバーグは好きとか言ってて、アタシ矛盾してるじゃん。なんでだろう、と考えるのだけど、よくわからない。おそらく、クローネンバーグの作品は少し距離を置いて観察するように楽しんでいるのだと思う。しかし、塚本作品は邦画なだけに、痛い描写やキモイ描写がよりリアルに感じて、受け止められないからかな。

そんな私が松田龍平狙いで観たこの作品。なんだか、塚本作品にしては、きっちりエンタメしちゃってるじゃないですか。「2」ができたのも納得。悪夢の中で殺されると言っても、具体的な描写は何も出てこんのです。セピア色の映像、ダッダッダと何者かが近づく音、カメラがぐわんぐわん揺れて、ガチャガチャ、ズドーン、って気づいたら自分自身をめった斬りしてる映像。もう、無茶苦茶ですよね。こういう強引なノリってのは、いつもの塚本ワールドですけど、どんなに突飛がなくても、どんなにワケわからん映像でも、なんせ「夢」だしね、という理由で受け止められます。これが大きい。

スプラッター系ホラーは全く駄目なので、自分で自分を切り刻むシーンはキツかったですけど、超後ろ向きの悪夢探偵が犯人とどう決着を付けるのかを見届けたくてがんばりました。塚本作品を見終わって「楽しめた」という実感は初めてかも知れないですね。いつもは独特の強引なやり口にまるめこまれて、強制的に最後まで見せられてしまったという気分にさせられることが多いんです。じゃあ、最初から観るなよって、ことなんですけど(笑)、怖いもの見たさというか、嫌なものでも蓋を開けてしまうような感覚で観てしまうんですね。それにしても、塚本晋也は監督・脚本・撮影までやってるんだから、やっぱり才能豊かなんだなあ。