Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

川の底からこんにちは

2011-06-23 | 日本映画(か行)
★★★☆ 2009年/日本 監督/石井裕也

「中の下でいいじゃないか」


<上京して5年目、仕事は5つ目、彼氏は5人目。ダラダラと“妥協”した日常を送っていた派遣OLの佐和子は、ある日突然、病に倒れた父親の代わりに実家のしじみ工場を継ぐことに…。>

これは満島ひかり主演ってことで、期待値を上げすぎてしまったかなあ。ゆるゆるムードの中にもう少しひねりやパンチがあるかと思ったんだけど、ゆるゆると終わってしまった。まあこの手の作品が好みなので、評価が厳しくなってしまうのかも知れないけど。


全体的なムードはいかにも、ぴあPFFアワード受賞監督作品って感じ。平凡な人間たちの右往左往をくすっと笑わせながら描く。「机のなかみ」や「純喫茶磯辺」の吉田監督の作風に似てるかも知れません。

それにしてもこの作品は彼女を主演にするつもりで書かれたんでしょうか。「だってしょうがない」、「中の下ですから!」と開き直る、どう見てもかわいくない女を愛らしく見せられるのは、彼女自身が持っているキャラクターに他ならないですよね。

腸内洗浄から始まって、OLのグダグダトークや実家に戻っての糞尿捲き、ぶっ飛び社歌斉唱と面白いのは面白いんだけど、どうも私は狙いすぎに見えちゃったなあ。この手の変化球作品を常日頃見過ぎているから、免疫付いてるのかも。

本作でいちばんいいと思ったのは、しじみ工場のおばさんたちへの演出かなー。朝礼時にシミーズいっちょうで着替えるおばさんたちには笑えた。あれを26歳の男子が演出しているってのが、気に入った。結局、社長と関係を持っていたのは誰?というくだりも面白い。この工場のおばちゃんたちは、ほとんど名の知られていない俳優さんばかりだけど、見事に演出してみんなの存在感を出してましたね。