Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

2046

2011-06-27 | 外国映画(な行)
★★★★ 2004年/香港 監督/ウォン・カーウァイ

「トニーレオンのまなざし」


「花様年華」の続編的作品ということで、まず「花様年華」を見直しましたら、これがあまりにもすばらしかったもんで、こちらの作品が見劣りしてしまいますね。これはもうしょうがない。

撮影当時、木村拓哉が何度も撮影が中断して困ったという発言をしていましたけど、その混迷ぶりが良くも悪くも作品に現れています。主人公が書く小説内ストーリーということですから、話があっちに飛んだりこっちに飛んだり、突然回想シーンになったり。何でもアリなワケで。映像そのものはウォン・カーウァイらしい幻想的な美しさはあれど、それを楽しもうという意欲がないと退屈かもね。

でも、女性の体のラインの撮り方なんかは狙い過ぎと感じることなく、美しさそのままが伝わる映像づくりというのは、さすがウォン・カーウァイだと思う。ベッドに横たわる女の腰のくびれ、素足にハイヒールのくるぶし、肩の開いたドレスからのぞく鎖骨。次から次へと出てくる細部フェチのカット。のぞき窓からのぞいたようないかにもな構図なんだけど、見ていて醒めるようなことはなくて、すっかりこの世界にとらわれてしまう。のぞき窓ということで言えば、このストーリーそのものがトニー・レオンの覗きで成り立っているんだよね。2047号室から2046号室を常に覗き見る男。だから、対してストーリーは動かないけど、感情移入できるんだと思う。

とはいえ、いちばんの見どころは、アジアンスター総出演ってことなんじゃないでしょうか。私はそこんとこ、素直に楽しみました。トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、チャン・チェン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ。みな幻想的なカーウァイ作品の住人になってます。最も、軸となるのはトニー・レオンで、彼の突出した存在感にはやはり唸らされますね。彼の女性を見つめるまなざし。そのワンカットが実に多弁です。昔の女を哀れむまなざし、隣の女を挑発するまなざし、大家の娘を見守るまなざし。トニー・レオンがそれぞれの女を見つめるというカットが随所にあるのですけれど、まるで自分が見つめられているようでドキドキ。私の心はとろけてしまいそうです。

それにしても、なぜ彼の女がカリーナ・ラウなの!?解せん!(ああ、ついに言ってしまった。いや、いつか叫びたかった)