Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

X-MEN ファースト・ジェネレーション

2011-06-28 | 外国映画(あ行)
★★★★☆ 2011年/アメリカ 監督/マシュー・ヴォーン
<TーJOY京都にて鑑賞>

「マグニートーがカッコいいんだわさ」

評判がいいので、とりあえず「XーMEN」を見て鑑賞。
アメコミ系としては「ダークナイト」に次ぐ良作。映画館のスクリーンで見て正解でした。「キック・アス」は未見なんだけど、監督はなかなかの凄腕ですね。善と悪の対決という古典的内容を非常に重厚な作品に仕上げていて、見応えがありました。こういう荒唐無稽アクションが面白くなるのは、人物たちの心理描写とワールドワイドな展開。この2本柱に尽きると最近つくづく思う。「イーグル・アイ」でも書いたけど、アメリカ、アメリカってドメスティックな内輪なストーリーはもはや古くさく感じるということ。

ナチス政権時代から始まり、フランス、スペインと背景が広がりながらも、世界観がどっしりと揺るがない。それは、主演を務めるミヒャエル・ファスベンダーの演技の賜。彼はドイツ人とアイルランド人のハーフってことで、もちろんドイツ語が流暢。フランス語もスペイン語もうまい。その確かな語学力が作品にリアリティを生んでいる。そこはかとなく漂う影、というのかなあ、傷を抱えているニヒルな感じがとってもセクシー。この作品ですっかりファンになってしまった。

一方、善の立場であるプロフェッサーXを演じるジェームズ・マカヴォイ。私は彼のことがいいと思ったことがほとんどなくて、特に最近見たウォンテッドがあまりにしょぼかったもので全く期待していなかったんですよね。ところが、この役は良かった。超能力者だけに派手なアクションもなく見せ場がなく難しい役どころだと思う。こめかみに指を当てて、相手の心に入っていく、という仕草ね。あれ、よく考えると凄くダサイよね。コントじゃないんだから、みたいな演出なんだけど、ジェームズ・マカヴォイは、あの仕草にちゃんとリアリティを持たせていたってことがすばらしいと思う。

ミュータントを次々とハントしたり、若手ミュータントがどんちゃん騒ぎするようなシーンは、正直いらんと思ったりするけど、あれはあれで10代の若い観客が見たら、素直に楽しいのかもね。それ以外は、巧みな心理描写を交えながら親友であるふたりの葛藤と対立にじっくりと焦点を当てているのがいい。最大の理解者でありながら、敵対することになるマグニートーとプロフェッサーX。シリーズもののエピソード1という立ち位置に止まらない傑作でしょう。

そうそう悪玉を演じるケヴィン・ベーコン!もう、ワルをやらせたら右に出る者ナシだねえ。コイツがほんと憎たらしいんだあ。