かく乱
2012年09月23日 | 花
「かく乱」と言うと「鬼の霍乱」が思い浮かぶ場合が多いでしょうか?
日本語は、同音異義語が沢山あるために、前後の文脈がはっきりしないと、困っちゃいます。
ここで言う「かく乱」は、「撹乱=かき回し乱すこと」です。
以下の話は、受け売りですが、販売元は、神戸大学大学院、角野康郎教授です。
先日、角野教授の講演を聞きまして、その内容の一部です。
以下は、1951年に水田雑草(水田によく見られる雑草)の調査結果です。
全国害草と言われる、日本国内の水田で困った雑草です。
アゼオトギリ、アギナシ、タウコギ、オオアカウキクサ、サンショウモ、デンジソウ、スブタ、ミズオオバコ、ホシクサ、ミズアオイ....
さて、時は2012年。
上記の水田雑草は、ことごとく環境省のレッドリストへ載っているそうです。
レッドリストへ載った絶滅危惧種(植物)は、凄く珍しい植物だろうと想像してしまいますよね。
だけど、現実には人里の植物が危機に瀕しているんです。
当然、水田に関係する動物、タガメとかメダカも、同じように絶滅危機に瀕しています。
角野教授の話から、日本は、山間部が多いように感じますが、実際には湿地(ウエットランドと言うそうです)の水辺環境が豊かな国でもあることがよくわかりました。
振り返れば、子供の頃見た田んぼには、水草が浮いていたり、おびただしい数のオタマジャクシが泳いでいたりしました。
今日の写真は、「ミズアオイ」です。
昨日と今日、福島潟のオニバス沼で撮影しました。
昨日は快晴、今日は雨と、両極端の環境で撮影しましたが、個人的にはミズアオイには雨が似合うと感じています。
角野教授によると、ミズアオイは、種ができた後に地面がかく乱(かき回す)される環境を好みます。
水田は農作業の一環として、必ず地面を引っ掻き回しますから、ミズアオイにとっては水田は天国の様な所だったのでしょうね。
3.11の大地震の後、宮城県の水田では、急にミズアオイが復活したそうです。
角野教授は、水の流れによって、かく乱されたのが原因ではと言っていました。
オニバス沼のミズアオイは、人の手により管理されています。
だから、増減はあるものの、毎年花を愛でることができます。
角野教授は、日本の自然は二次自然(里山とか水田など)が多い環境で、その保全が結果として人間にも多大な恵みを与えてくれると説明していました。
本来であれば、田んぼで普通にミズアオイを見ることができるのがベストです。
だけど、現実問題として、そのような環境を作るには、難しい問題が山のようにあることも確かです。
日本人の得意技で、ここで思考停止となってしまいました。
一番上の写真は、今日の午前中に撮影した、雨に煙る福島潟です。
今日23日は「福島潟自然文化祭」ですが、あいにくの雨で、夕方から予定されている「雁迎灯(かんげいび)」がどうなるか心配です。