この歳になると、なかなか新しい物の良さが分からなくなりました。
映画観ても、こんなん、昔の方が良いという感想ばかりです。
まあ、私の場合、若い頃から温故知新というよりも、古きを訪ねて古き良きものを知るっていうのが基本姿勢だったんですが……。
そういうきっかけのひとつが、次のアルバムを聴いた時でした。
■Hot Tuna (RCA)
妙な名前のバンドですが、サンフラシンコ・サウンドの王者として70年代初頭まで大活躍したジェファーソン・エアプレーンのギタリストであるヨーマ・カウコネンとベーシストのジャック・キャサディが、グループ在籍中に始めたサイド・プロジェクトです。
演奏しているのはブルースですが、これがアコースティック、つまり今流に言えばアンプラグド! これは当時、新鮮でしたねぇ。
というか、私はそういうものを初めて、これで聴いたのです。ブルースはエレキでギンギン・ドロドロにやるもんだと、思っていましたから。
しかも、そのアコギがフィンガー・ピッキングでメカニカルな極上テクニック♪ どうやって弾いているのか、全く分かりませんでした。それは今も同じです。
で、この元ネタはブラインド・ゲイリー・デイビスとかブラインド・ブレイクという、古い黒人ブルースマンだということが、後で分かってくるのですが、今でも、このアルバムが好きですねぇ。和みます♪
そして、これをきっかけに、古いブルース、エレキを使っていない昔の録音を聴くようになりました。もちろんシビレきったのは、言わずもがなです。
折りしも当時=昭和50年代前半の日本洋楽界は空前のブルースブームになっていて、人間国宝的な黒人ブルースマンが来日して、ライブも聴けましたし、本当に良い時代でした。
ちなみにホット・ツナは、後にエレキもギンギンに使って、クリーム的な演奏をしています。それも、また、素敵な出来なんですが、まずはこのアルバムを試しに聴いてみて下さい。新しい世界が広がるかもしれませんですよ。