OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

宇宙を歩くバランスの良さ

2005-10-26 16:24:06 | Weblog

物分りを良くしようと、まあ、常日頃から思っているわけですが、やっぱり、それだけではいけませんねぇ。ここという時、ガンコな一面も見せておかないと、シメシがつかないわけです。

そのあたりのバランス感覚が、もっとも難しいのが、今の私の年頃でしょうか……。

という嘆き節もほどほどに、バランス感覚の良さに目覚めるのが、本日のBGM――

Walking In Space / Quincy Jones (A & M)

今やアメリカ音楽界のドン=クインシー・ジョーンズは、本来はジャズ・トランペッターですが、それよりもアレンジの上手さで売り出した人です。その特徴は、切れ味するどく、しかも温か味も忘れていないこと、そして、流行に敏感でありながら、ガンコ一徹を通していることではないでしょうか。

それはクインシーがプロデュースした夥しいヒット曲の数々、名作アルバム群を鑑みれば、いちいち言う事はありませんが、何も自分を犠牲にしていないかと言えば、そうではないのです。

例えばジャズに対する熱い思い入れのあげく、1960年代初頭には無謀とも思えるオールスター・ビッグバンドを編成して海外巡業までやっていましたし、同時期にハリウッド入りして映画音楽界に進出した時は、ジャズはダメ、と注文をつけられる始末でした。

しかし、それを乗り越えて、ブルースやR&B、ソウルやロックを煮詰めた世界を何の衒いも無く表現出来たクインシーは、抜群のバランス感覚がある人なんでしょうね。そしてそこで成功して、また、何の衒いも無くジャズ・アルバムを作ってしまうという潔さ! それがこのアルバムです。

集められたメンバーは一流のジャズメン&スタジオ系のメンツで、4&8ビートの区別無く、ロックもソウルも全てジャズに還元させるそのアレンジを、完璧に演奏した素晴らしい作品です。

ボーカル&コーラスの使い方も心地よく、そこに前衛的なアドリブが被っても全く違和感がありませんし、生とエレキの2つのベースを使って何とも心が躍るリズムを出してみたり、粘っこいソウルの世界に誘われた瞬間、爽やかで宇宙的な広がりのある世界に身を委ねたくなる展開に収束する、そんな素敵な曲がぎっしり6つ、入っています。

あ~あ、ジャズは素敵だぁ♪

コメント (2)
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