OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

追悼・大原麗子

2009-08-07 10:55:33 | 歌謡曲

ピーコック・ペイビー / 大原麗子 (ビクター)

深夜にケイタイで叩き起こされ、なんだ……、また仕事かなんかのトラブルか……、なんてモヤモヤしながら出てみたら、友人から大原麗子の訃報を……。

一瞬、唖然として絶句がしばらく続きましたですよ……。

そういえば近年は、なにかの奇病で引退のような感じでしたが、それにしても死後2週間近くたった孤独死というは、華やかな故人の雰囲気からして、尚更に哀しみが……。

私が大原麗子を強く意識したのは、昭和45(1970)年に観た日活映画「大幹部 / ケリをつけろ (小澤啓一監督)」でした。これは渡哲也主演で、「野良猫ロック / セックスハンター」の併映作品でしたが、そこで演じていたヤクザの情婦役が、その美しく陰りのある佇まいとセミヌードの演技によって、青春時代のサイケおやじには忘れえぬ女優さんになったのです。

そして帰宅後、当時、我が家に下宿していた叔父さんにその事を話すと、やはり映画が好きだった叔父さんは、大原麗子は所謂ヴゥンプ女優で、東映では梅宮辰夫の相手役として、娼婦やホステス、不良少女役ばかりやっていたことを教えられるのです。

ちなみに当初は、「第二の緑魔子」として売り出されていたことを知るのは後の話ですが、確かに後追いで観た梅宮辰夫が主演のB面併映作品の多くで、大原麗子はお色気女優として登場していたのです。中でも一番吃驚したのは、「(秘)トルコ風呂(東映・昭和43年・村山新治監督)」でのソープ嬢役でしょう!?!

このあたりは、現在では完全に無かったことにされているのですが、私が最もシビレるのは、彼女の「あの場面」における声の出し方というか、喘ぎと悶えの声の表現が、独得の甘さと余韻で演じられるところに、男好きのする彼女の魅力があるように思います。

それは一般映画でも、例えばワケ有りの人妻役を演じては陰りある美貌とジャストミートする台詞回しに顕著ですし、時代劇での忍ぶ女の雰囲気、あるいは逆に欲と二人連れになったようなギラギラと陰湿な内面を隠し持つ演技等々、とにかく強い印象を残すのですねぇ。

しかも、そこには決して恥じらいを忘れない、美しさがあるのです。

また今日では有名になっている彼女のデビューまでの経緯では、不良少女だった頃の自然体な雰囲気が、東映の諸作で演じたスベ公やお転婆娘の演技に直結していたのでしょう。それらは決して代表作とはなり得ていませんが、個人的には「網走番外地・北海篇」での運送屋の娘役が好きです。途中で尿意に耐えかねて……、の場面は観ての楽しみ♪♪~♪ まあ、露骨に尻をまくるというような演出はありませんが、不貞腐れた羞恥心を見せる彼女が、良いんです♪♪~♪

さて、本日ご紹介のシングル盤は、今では人気絶大なサイケ歌謡の決定版♪♪~♪ 発売は昭和43年という昭和元禄が真っ盛りのピッピーな衣装とメイクが眩しい彼女のジャケ写も秀逸ですが、楽曲そのものもセルジオ・メンデスあたりのラテンロックを見事に歌謡曲化した名演・名唱で、聴く度にウキウキ♪♪~♪ キュートで、ハスッパな彼女のボーカルが、本当にたまらんですよ。

これはCD化もされていますし、ネットでも流れていると思いますので、ぜひっ!

しかし、それにしても美人薄命というか、昨年末の飯島愛の訃報と同じく、ちょっとやりきれないものを感じます。人間の死は、何時、如何なる時も悲しいわけですが、生前が華やかな人ほど、また哀しみがつのるのも確かです……。

大原麗子、安らかに……。

そして天国でも、この曲を歌って下さい。

衷心より、ご冥福をお祈り致します。合掌。

コメント (2)
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