■天使の誘惑 / 黛ジュン (東芝)
夏になると聴きたくなる曲のひとつが、本日ご紹介のシングル曲じゃないでしょうか。ご存じ、昭和43(1968)年5月に発売され、レコード大賞に輝いた昭和を代表する名曲ですよねっ♪♪~♪
胸キュンの歌詞とメロディはサイケおやじの最も好むところですし、ジャズロックなドラムスにドライヴするエレキベース、そしてハワイアンなスティールギターとゴージャスなストリングスをバックに、当時の言い方では、まさに「パンチの効いた」黛ジュンのボーカルが最高の極み!
夏になると、なんて最初に書きましたが、実は告白すると、サイケおやじは何時もこの歌を聴くと、泣きそうになるほどです♪♪~♪ あぁ、実に良いですねぇ~~♪
歌っている黛ジュンにとっては4枚目のシングル曲で、まず昭和42(1967)年2月というGSブーム全盛期に、そのサウンドのキモを丸取りしたエレキ歌謡の大名曲「恋のハレルヤ」がデビューヒット! 続く哀愁路線の「霧のかなたに」、GS歌謡に演歌系R&B色も強く滲んだ「乙女の祈り」というヒットの連発で、忽ちポップス系女性歌手ではトップに躍り出ましたが、思えば当時の歌謡界では、彼女のように本物のロックビートで歌謡曲を歌える歌手が少なく、その意味で黛ジュンの登場そのものが、実に新鮮で衝撃的だったと思います。
それと如何にも日本人的な体型とミニスカの相性、丸顔と魅惑の瞳で歌い踊る彼女はテレビや映画でも安心感と和み、大衆に許容されるセクシーさがありましたですね。
ちなみに黛ジュンは再デビューにあたっての芸名で、実はそれ以前、本名の渡辺順子として数枚のシングル盤を出していますが、いずれも不発……。また実兄は先日の訃報も記憶に新しい作曲家の三木たかしですが、2人は揃って大御所の船村徹に才能を見いだされ、弟子入りしていたそうです。また幼少の頃から歌が上手かった彼女は、様々な場所で歌いながら家計を助けていたと言われています。
そしてついに大輪の花を咲かせたのが、本日ご紹介の「天使の誘惑」となるわけですが、作曲した鈴木邦彦は私の好みにジャストミートの作家なんですねぇ~♪ というよりも、私の好きな歌謡曲のクレジットを確認すると、この人の名前が実に多いんですよ。そうした個人的な嗜好に目覚めさせてくれたのも、この「天使の誘惑」です。
と書いて置きながら、この名曲の元ネタはハワイアンの素敵なメロディ「月の夜は」じゃないか? と長年思っているんですが、いかがなもんでしょう。
ということで、誰もが一度は聞いたことのある歌でしょう。
黛ジュンは以降、正統派歌謡曲の「夕月」、熱いファズギターが唸るR&B歌謡の「不思議な太陽」、フォークロック風味の「雲にのりたい」、ポップス路線の「涙でいいの」、ソウルフルな「土曜日の夜、何かが起きる」と快調にヒットを続けますが、昭和41年に発売した大名曲「とても不幸な朝が来た」が局地的に放送禁止となったあたりから失速……。
私生活でも結婚や離婚があり、昭和58年には日活ロマンポルノ「女帝」に出演するなど、紆余曲折……。しかしテレビの懐メロ番組に登場する彼女に接すると、確かに歌の実力が落ちているのは否めませんが、やっはり嬉しくなるのがファンというものです。
そしてその度に「天使の誘惑」に魅了されるのでした。
すっき~、なのぉにぃ~、あの人~は、いなぁ~いぃ~~♪