昨日報じられたスイングジャーナルの休刊には、決して軽くない衝撃を受けました。
私は毎号買うような熱心な読者ではありませんでしたが、ジャズ喫茶へ行けば最新号は必ず読んでいましたし、本屋で立ち読みしては新譜やミュージャンの来日情報を得ていましたから、やはり寂しい気持を隠せません。
言うなれば自分にジャズのあれこれを教えてくれたのはジャズ喫茶とスイングジャーナルという、まさに聴きながら読む実践だったのです。
今回の措置は広告収入の減少とされていますが、売れなくなったことが大きいのでしょうね。
まあ、ネットがこれだけ日常的になれば、様々な情報が無料で入手出来ますから、なにもお金を払って評論家や諸先輩方の感想文を読むまでもなく、またそうしたお金はCDやチケット代に振り向けるのが一般的なファンの正直な気持だと思います。
それはサイケおやじとて例外ではなく、思えばスイングジャーナルを最後に買ったのは何時だったのか、それを確かめるべく本棚を探索して認められたのが、本日掲載の「1975年4月臨時増刊号 / ジャズ・ピアノ百科」でした。
ちなみに値段は千円なんですが、その中身の濃さは圧巻!
まず私のお目当てだったのが、「人気ジャズ・ピアニスト10人の完全ディスコグラフィー」という企画で、ソニー・クラーク、ケニー・ドリュー、ビル・エバンス、レッド・ガーランド、ハンプトン・ホーズ、ウイントン・ケリー、フィニアス・ニューボーン、オスカー・ピーターソン、バド・パウエル、マル・ウォルドロンの当時としては完全に近いレコードやセッションのデータが、モノクロですが、ジャケット写真と共に掲載されていたのですから、思わず食指が動きました。
実際、これを頼りにジャズ喫茶でリクエストし、蒐集したレコードがどっさりあります。
また有名ピアニストの簡単な履歴を物語風に綴った読み物の中には、楽譜付きの奏法解説や貴重な写真がテンコ盛りにあって、中でも秋吉敏子物語は目からウロコというか、モダンジャズ創成期の我国ばかりか、渡米して以降のお宝写真が凄いの一言でした。
それと既に幻のピアニストとなっていた守安祥太郎の伝説も、内田晃一氏の興味深い文章でリアルに感銘をうけましたですねぇ。
さらに当時の有名評論家の先生が様々なテーマでガチンコの対論を展開していたり、「ジャズピアノ最新用語辞典」とか「ジャズピアニスト最新バイオ / ディスコ」なんていう簡易特集も、それなりに詳しくて勉強になったのです。
気になるグラビアでは、巻頭に掲載された佐藤秀樹氏所有の「ジャズピアノ超幻の名盤」という特集が羨ましい限りでしたし、人気ピアニストのボートレイトやパド・パウエルのピンナップがオマケについているという、当時の雑誌のお約束がきっちりと守られています。もちろんそれを切り取るなんていう愚行は出来ないわけですが、そこにまた良さがあったんじゃないでしょうか。
まあ、それはそれとして、サイケおやじにとっては相当に熟読した座右の書♪♪~♪
ですから、かなり傷んでいるんですが、それも人生の積み重ねと思えば、決して大袈裟ではない感慨が沸き上がってくるのです。
ほとんど買っていなかった私のような者が言うのも気が引けますが、今回の休刊は本当に残念でありますし、ここにあらためて謝辞を述べる他はありません。
ありがとう、スイングジャーナル!
追伸:本日はハンク・ジョーンズ(p) の訃報に接し、またまた衝撃を受けました……。この偉人にもジャズを教えられましたですねぇ。衷心より、ご冥福をお祈り致します。合掌。