■道 / 広谷順子 (ポニーキャニオン)
昭和50年代中頃に活動していた広谷順子は素敵なボーカリストであり、優れたソングライターでもありましたが、一般的な人気よりも業界内での評価が高かった様で、何時の間にか裏方のセッションボーカリストとして、当時制作されていたアイドルやニューミュージック系シンガーのレコードでコーラスパートを担当した仕事は夥しく残されています。
しかし、昭和54(1979)年の公式デビューから数年の間に出した自己名義のレコードは、今日でも忘れられないものばかりなんですよっ!
本日掲載したのは、その彼女の最初のシングル盤で、作詞:山上路夫&作曲:村井邦彦から提供されたA面曲「道」は、持ち前の綺麗な声質を活かしたソフトロック調の歌謡ポップスで、発売された時期の昭和54(1979)年2~3月にNHK「みんなの歌」の放送曲になっていたほどの傑作なんですが、個人的には萩田光雄が施したジミー・ウェッブ風の大仰なアレンジが聊か鬱陶しく、しかし、だからこそ広谷順子のピュアな歌声が伝わって来るんですねぇ~~♪
それは、おそらく確信犯的な狙いだったと思いたくなりますが、いかがなものでしょう。
歌詞の主題が「元気を出して進む、この道は!?」みたいな、前向きな応援歌っぽいところもジャストミートしているんですが、同時代の子供達が、この「道」を聴いて、どれだけ勇気づけられたかは定かではありません。
しかし、広谷順子の「声」と「節回し」の素晴らしさを確実に後世へ伝える役目は果たしていたと思います。
ということで、既に述べたとおり、結果的に彼女の活躍は数枚作られたリーダー盤よりも裏方としての仕事が知られているかもしれませんが、サイケおやじとしては、広谷順子名義のレコーディングはコンプリートでの収集に値すると決め込んでおりまして、実は今世紀に入ってからは再び表舞台での活動も始めたのですが、残念ながら昨年、天国へ召されたとか……。
最後になりましたが、このデビュー曲「道」は職業作家からの提供作品だったんですが、優れたソングライターとしての彼女の才能は、以降に出されたシングル盤やLPで、きっちりと楽しむ事が出来ますので、追々にご紹介させていただく所存です。
あぁ……、広谷順子の「声」は確かに耳に残っているのでした。