■恋のマグニチュード / 横須賀昌美 (ワーナーパイオニア)
掲載したのは、所謂「1980年代アイドル」でありながら、様々なスキャンダルとは言わないまでも、その頃の芸能界を大いに騒がせ、盛り上げてくれた横須賀昌美(よこすかよしみ)が歌手としてのデビュー作となったシングル盤です。
と書いたのも、当然ながら、彼女は「アイドル歌手」が芸能界へのデビューではなく、最初はCMモデルやグラビアアイドルの仕事で人気を集めていたわけで、特に昭和55(1980)年に某化粧品メーカーのキャンペーンガールに選ばれた事から大ブレイク!
忽ち有名企業各社のCMに起用され、ついには昭和56(1981)年春に掲載盤A面に収録された「恋のマグニチュード」で歌手デビューしたわけですが、当時のテレビで放送されていた歌番組に出演すれば、必要以上の水着姿や薄手のスポーツファッションが衣装になっていた記憶があるほどでしたから、これで青少年の人気が掴めないはずはなく、一部では松田聖子よりも将来を嘱望する噂もあったほどです。
ただし、歌手としての実力は正直、優れているとは申せません。
それても作詞:水谷啓二&作曲:和泉常寛が企図した如何にも「爽やかな夏向きアイドルソング」という狙いを外すまいと前向きな気持ちで歌う姿勢は好感が持てますし、松井忠重のアレンジも同時代のアイドル歌謡ポップスの「イイとこ取り」で、なかなか上手く纏まっていると思うんですが、いかがなものでしょう。
ところが、好事魔多し!?
確か昭和59(1984)年頃だったと思うんですが、当時の恋人と云われていた男と一緒のベッド同衾写真が流出し、忽ちアイドルの座から転落したばかりか、多くのCMの仕事が打ち切られ、その違約金でスッテンテンになってしまえば、後は裸一貫!
と、サイケおやじは大いに期待したのですが、出演したロマンポルノ「夕ぐれ族」では脇役でヌードは肩すかし……。
結局は水商売へと転身したとか、プライベートな事情を暴かれたりしたのは有名芸能人の宿命でしょうか、それでも彼女は新たに活路を見出し、それが所謂「Vシネ」への出演であり、ついには露出度の高いラブシーンまでも披露する様になったのですから、再ブレイクは言わずもがな、「脱ぎ要員」との陰口もありながら、テレビのサスペンス作品等々にも出演し、写真集やイメージビデオも相当数売れていたのですから、やはり「イイ女」としての価値は絶大だったというわけです。
ただし、歌手としては結局のところ成功したとは言い難く、シングル盤も4枚ほど出している事を確認しているに過ぎません。
そして、だからこそ、このデビュー曲「恋のマグニチュード」が愛おしくなるのがサイケおやじの偽りのない本音です。
ということで、本日は特段のオチもありませんが、借りているトランクルームの引っ越しに伴い、忘れていたブツを再発見しておりますので、追々にご紹介させていただく所存です。
もちろん、本日の掲載盤も、そのひとつだというわけです。